研究課題/領域番号 |
21K17022
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分57040:口腔再生医学および歯科医用工学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
矢内 理沙 (糸永理沙) 九州大学, 歯学研究院, 共同研究員 (60755271)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 脂肪幹細胞 / 骨分化 / 骨再生 / Ca / BMP-2 |
研究開始時の研究の概要 |
私たちはこれまでにhASCsの骨分化はリコンビナントBMP-2(rBMP-2)により促進され、高濃度の細胞外Ca2+はrBMP-2と同様にhASCsの骨分化を促進するという結果を得られた。 また、私たちのこれまでの研究により、in vitoroにおいては、細胞外Ca2+の増加はautocrine および/または paracrine によって作用し、hASCsの骨形成分化を誘導する可能性が示唆された。 このため今後はin vivo での Ca2+刺激を加えたhASCs の骨形成が可能か検討していく。
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研究実績の概要 |
顎顔面骨の欠損の再建には高度で繊細な技術を必要とする。現在主流となっている再建方法は金属プレートあるいは自家骨を用いたものであるが、感染の面や侵襲が大きいことなど問題点も多い。このため脂肪由来間葉系幹細胞(ASCs)を用いたより良い再建方法を確立したいと考え研究を行った。 私たちはこれまでにヒトASCs(hASCs)の骨形成分化におけるBMP-2の影響について検討を行い、BMP-2によって骨分化が促進させるという結果を得ている。ただ、リコンビナントBMP-2はコスト面や安全性の面で臨床応用は限定的である。そのためBMP-2によらない細胞外Caイオンのみを利用するhASCsの骨再生の可能性を探ってきた。その結果、細胞外Caイオン濃度を上昇させることにより、hASCsに自らBMP-2を分泌させ、autocrine / paracrine 的に自ら骨形成分化を誘導活性化する可能性が示唆された。また、その細胞内シグナル伝達機構にはCa / CaM / NFAT経路の関与が示された。 このことから、実際にin vivoでのCaイオン刺激を加えたhASCsの骨分化再生能を解析することで、臨床応用可能であるか明らかにすることとした。まずはヌードマウスの皮下に立体構造の骨を作ることを目的とした。足場はポリ乳酸(PGA)を使用した。hASCsを立体構造のPGAと共に通常の培地で培養すると3日目には細胞の付着が確認できた。培養7日目に高濃度Caイオンを含む骨分化誘導培地に替えると、hASCsは骨へ分化し始めた。このままさらに骨分化誘導培地で7日間培養したのち、PGAをヌードマウスの皮下に移植した。皮下移植後4週間で再度PGAを分析すると、成熟骨で覆われていることが確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の最終目標は、Caイオン誘導性hASCsの骨形成を確立し、より安全に効果的にかつ安価に骨を再生させることにある。私たちはこれまでに、Caイオン刺激によりhASCs自らBMP-2を産生するうえでのシグナル伝達に関与が示唆される因子やhASCsの骨形成分化を誘導活性化する経路を検索してきた。その結果を踏まえ、in vivoにおいてCaイオン刺激を加えたhASCsの実際の骨分化再生能を解析することで、臨床応用可能であるか明らかにすることを目的とした。 そのための最初の目標として、ヌードマウスの皮下にPGAを足場としたhASCsの立体構造を移植し骨形成を確認することとした。臨床応用する際には欠損している骨と同じ形態 のPGAを用いたいと考えているため、様々な形態のPGAで細胞が付着するか検討した。また最初に播種する細胞の数をどのくらいにするか、細胞はどの程度の割合でPGAに付着するかを比較検討し、通常培地での培養期間も数パターン振り分けて研究した。骨分化誘導培地への交換のタイミングや期間も変えながら試した上で、最適ではないかと思われる方法が導かれた。皮下への移植も上達し骨が形成されることが確認できている。培養時のCaイオンの有無で形成された骨の成熟度に差があるかも示すことが出来ている。現在骨欠損部でも同様に骨が再生できるか検討中である。このため研究はおおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の最終目標は、Caイオン誘導性hASCsの骨形成を確立し、より安全に効果的にかつ安価に骨を再生させることにある。皮下においては、Caイオン刺激を加えたhASCsの骨形成分化能は刺激を加えなかっ場合と比較して高いことが確認できている。今後は顎裂モデルマウスの骨欠損部に骨を形成することを目標とする。 そのためにはまず顎裂モデルマウスの作成が必要となる。A/WySnマウスは口唇裂、唇顎口蓋裂の自然発症が高いことが知られていることから、これらのマウスより顎裂モデルマウスを作製することを考えている。顎裂を有したマウスの印象採得を行い、裂の形態を模型で再現する。模型より裂の形態に合わせたPGAを作成し、PGAにhASCsを付着させ顎裂部に移植し皮下ではなく裂部にその形態に合った骨が形成されるか検討する。 この方法による骨形成が確立できれば、将来的には骨欠損患者のCTより3Dプリンタを用いてその顎骨モデルを作成し、欠損に合わせたPGAに患者の皮下より採取したhASCsを付着させ移植するだけで骨の形成・再建が可能となる。臨床応用が可能となれば健全部位からの骨採取が必要なくなり患者の負担は大幅に軽減されると考える。
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