研究課題/領域番号 |
21K17035
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分57050:補綴系歯学関連
|
研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
北見 恩美 新潟大学, 医歯学系, 特任助教 (00834772)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2022年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2021年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
|
キーワード | 顎関節 / 一次繊毛 / 軟骨細胞 / mTOR / 老化 / mTOR / プライマリーシリア / 変形性顎関節症 |
研究開始時の研究の概要 |
高齢者の変形性顎関節症の原因は、組織の粘弾性の低下によるものであると考えられているが、その発症メカニズムは未解明である。 プライマリーシリアは、細胞外環境を感受するアンテナ様の細胞小器官である。 申請者らはこれまでの研究で、シリア欠失マウスの下顎頭軟骨細胞において基質の分泌能が低下することを報告した。 本研究では老齢マウスの下顎頭軟骨細胞におけるシリアの出現ならびに細胞外基質の分泌過程を解析し、さらに基質の分泌を制御するシグナル伝達経路を明らかにすることにより、加齢による変形性顎関節症の発症メカニズムを解明し、その予防を含む新たな治療法の開発に寄与する。
|
研究成果の概要 |
変形性顎関節症の原因の一つに加齢が挙げられるが、軟骨組織の加齢変化のメカニズムは明らかではない。加齢と共にプロテオグリカンが減少することにより、下顎頭軟骨の弾力は劣化する。 本研究では、加齢による下顎頭軟骨のプロテオグリカンの減少と相関しmTORシグナルが減衰し、細胞外環境情報を受容するアンテナ様細胞小器官である一次繊毛の発現が減少することを明らかにした。さらに、下顎頭軟骨においてmTORシグナルの阻害は一次繊毛の発現率が減少させ、加齢と類似した顎関節組織像を呈することを明らかにした。 以上により、軟骨組織の加齢変化にはmTORシグナルにより制御された一次繊毛の発現減少が関連していると考えられる。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
変形性顎関節症は顎関節の構成組織である下顎頭軟骨の破壊を特徴とし、高齢者に多くみられる。加齢と共に関節軟骨の緩衝能が劣化することが報告されているが、加齢による緩衝能劣化のメカニズムは依然として明らかになっていない。 本研究では加齢に伴う顎関節の形態変化と、細胞機能を維持するシグナル受容体である一次繊毛の発現変化が相関することを示した。また、加齢とともにmTORシグナルの減衰が生じること、さらには顎関節においてmTORシグナルは一繊次毛を正に制御することを明らかにした。本研究は顎関節の老化メカニズムの一端を明らかにすることで、変形性顎関節症を予防する新たな戦略となる研究である。
|