研究課題/領域番号 |
21K17057
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分57050:補綴系歯学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
宍戸 駿一 東北大学, 歯学研究科, 助教 (20850613)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 水酸化ラジカル / 芽胞 / 殺菌 / 高水準消毒 / ヒドロキシルラジカル / 高水準消毒薬 / TEM / ESR / 細菌芽胞 / 殺菌消毒 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、過酸化水素光分解殺菌法を細菌芽胞に応用し、その殺菌効果の実証と、作用機序の解明を目指す。 補綴歯科臨床における感染対策で用いられる高水準消毒薬には、長時間処理が必要である点や、作業者への毒性等の問題がある。一方で、我々は、過酸化水素に青色可視光や紫外線A波(UVA)を照射して生成させた水酸化ラジカルを利用して殺菌を行う「過酸化水素光分解殺菌法」を考案し、その効果と安全性を実証してきた。本殺菌法で細菌芽胞を効率的に殺菌できれば、安全で効率的な新規高水準消毒法として、補綴歯科臨床に応用できる可能性がある。しかしながら、本殺菌法の細菌芽胞に対する殺菌効果については、いまだ明らかではない。
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研究成果の概要 |
本研究では、過酸化水素光分解殺菌法を新規高水準消毒法として補綴歯科臨床に応用することを目指し、芽胞に対する殺菌効果の検証とその作用機序解明に向けた分析を行った。実験には、Bacillus subtilisとBacillus cereusの2菌種を用いた。まずは芽胞の培養法を確立し、位相差顕微鏡や走査型電子顕微鏡(SEM)を使用して、芽胞の観察を行った。過酸化水素光分解殺菌法は、芽胞に対して、波長依存的かつ時間依存的に、効率的な殺菌効果を示した。SEMや電子スピン共鳴(ESR)による分析結果から、過酸化水素光分解殺菌法により芽胞の構造の一部が破壊もしくは性質が変化する可能性が示された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
過酸化水素光分解殺菌法は、これまで一般的な栄養型細菌に対し、短時間で高い殺菌効果を示すことが報告され、主に歯科治療への応用が進められてきた。一方で、歯科治療で用いられる器具の消毒については、滅菌処理ができない材料の場合、高水準消毒が求められる。しかしながら、既存の高水準消毒法では、消毒処理が長時間に及ぶ場合や、作業者への毒性等の問題があった。本研究の成果として、過酸化水素光分解法により細菌芽胞を効率的に殺菌できることが示唆されたことから、本殺菌法は既存の高水準消毒薬と比べて安全な、新規高水準消毒法となりうる。今後は、他の高水準消毒薬との比較や、医療現場への応用へ向けた取り組みを行っていきたい。
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