研究課題/領域番号 |
21K17059
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分57050:補綴系歯学関連
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
鈴木 啓之 東京医科歯科大学, 東京医科歯科大学病院, 助教 (80801539)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 食のQOL / オーラルフレイル / 口腔環境 / 入院高齢者 / NST / 施設入所高齢者 |
研究開始時の研究の概要 |
急性期病院NST対象高齢者および施設入所要介護高齢者を対象とし,口腔環境・機能および食に関わるQOLを横断的に調査する.本横断研究により入院・入所高齢者の口腔環境・機能,栄養状態,食に関わるQOLの実態を明らかするとともに,食に関わるQOLに関連する口腔因子を明らかにする.本横断研究を通じて,高齢者の「食のQOL」に関連する口腔因子を明確にすることは,高齢者の「食」を守るために効果的かつシームレスな歯科介入の在り方の解明につながると期待される.
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研究実績の概要 |
生涯にわたり活き活きとした生活を送ることを可能とするためには,いかに「おいしく」かつ「楽しく」食事ができる状態を維持・確立していくかが,極めて重要であり,そのためには,良好な口腔環境や機能が必要不可欠である.本研究は,急性期病院入院高齢者の口腔環境・機能および食に関わるQOLを横断的に調査することで,入院高齢者の口腔環境・機能,栄養状態,食に関わるQOLの実態や,食に関わるQOLに関連する口腔因子を明らかにすることを目的としている. 本研究参加者は,急性期病院NST対象高齢者100名とし,以下のアウトカムを横断的に調査する.本研究のアウトカムは,食に関わるQOLの指標としてSubjective Diet-related Quality of Life (SDQOL)およびSimplified Nutrition Appetite Questionnaire for the Japanese elderly (SNAQ-JE),口腔環境・機能の指標としてOral Health Assessment Tool(OHAT),口腔の健康状態(オーラルフレイルセルフチェック)などである. 2022年度は,急性期病院におけるNSTにおいて,どのような患者に対して歯科医療従事者が直接介入するべきかを明らかにすること,さらにはNST対象患者に対して多職種連携による口腔健康管理を実施することによる,患者の口腔環境への影響を明らかにすることを目的に,栄養管理を目的にNSTへ依頼となった急性期病院入院患者を対象とした後方視的な調査を実施した.その結果,歯科医療従事者を含む多職種連携型の口腔健康管理の必要性を判定するためのカットオフ値を明らかにするとともに,多職種連携型の口腔健康管理により,NST対象入院患者の口腔環境を改善可能であることを明らかにした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度は,急性期病院NST対象入院患者に対する効率的な歯科医療従事者の関わり方を明らかにすること,NST対象入院患者に対して歯科医師を含む多職種連携型の口腔健康管理を実施することによる口腔環境への影響を明らかにすることを目的とした予備的な調査として,急性期病院NST対象となった入院患者を対象とする後方視的な調査を行った.その結果,急性期病院NST対象入院患者において,看護師もしくは歯科医療従事者による口腔健康管理を実施する必要性の判定には,それぞれOHAT総合スコアが有意な影響を及ぼしていること,特に,義歯に問題がある患者は,歯科専門職による口腔健康管理が必要であることが明らかになった.また,OHAT総合スコアから,歯科医療従事者との連携を要する口腔健康管理が必要となる患者を判定できる可能性が示唆され,その最適カットオフ値はOHAT総合スコア:4であることが明らかになった.さらに,口腔健康管理が必要である急性期病院NST対象入院患者に対する,歯科医療従事者による口腔管理指導を受けた看護師による口腔健康管理,歯科医療従事者による口腔健康管理のいずれもが急性期病院NST対象入院患者の口腔環境を改善可能であり,歯科医療従事者が口腔健康管理を実施することで義歯の問題も改善可能であることも明らかになった.これらのことから,2022度に実施した調査により,急性期病院NSTに対する歯科の関わり方,効率的な関与方法を示唆できたと考えられるが,対象者に対する口腔機能や,食に関連するQOLの調査についての調査は不十分であり,COVID-19の影響に伴い,施設入所者を対象とした調査の実施が困難であったことを考慮すると,現在までの達成度はやや遅れている状況であると評価した.
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今後の研究の推進方策 |
2023年5月に感染症法におけるCOVID-19の分類が,2類相当から5類に変更となることから,高齢者入所施設などにおける感染対策も変更されると予想はされるものの,施設入所高齢者を対象とした調査については,今後も感染対策上の留意点などにより実施に困難を伴うと考えられることから,研究計画の見直しを行い,施設入所高齢者を対象とした調査は一部中止とし,感染対策が比較的容易な入院高齢者を中心に調査を実施していくこととした.そのため今後は,急性期病院NST対象入院高齢者を対象とした調査に注力し,研究参加者リクルートの継続と,口腔環境評価,口腔機能評価,食に関連するQOLの調査を実施していく予定である.
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