研究課題/領域番号 |
21K17092
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分57060:外科系歯学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
丸瀬 靖之 九州大学, 歯学研究院, 共同研究員 (90784504)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | PD-1 / PD-L1 / OSCC / Gal-9 / Tim-3 / 口腔扁平上皮癌 / 免疫チェックポイント |
研究開始時の研究の概要 |
近年、癌に発現するprogrammed cell death ligand 1(PD-L1)が活性化T細胞に発現するprogram cell death 1 (PD-1) を介し、免疫応答を抑制することが明らかとなった。このPD-L1/PD-1経路を阻害する抗PD-1抗体はがん治療における免疫療法の地位を確固たるものとした。一方、PD-1からのシグナルがPD-L1を介して癌に与える影響に関しては不明である。本研究は、口腔扁平上皮癌におけるPD-1→PD-L1シグナルを介したOSCC細胞の増殖、遊走と浸潤に関わる分子機構の解明と抗PD-1抗体の治療効果を予測するバイオマーカーの探索を目的とした。
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研究実績の概要 |
OSCC における診断および治療に有用なバイオマーカーは未だ確立されていない。バイオマーカー確立のためには、癌治療における予後を大きく左右する浸潤・転移の分子機構を解明することが重要である。われわれは、以前より、免疫チェックポイント分子 PD-L1/PD-1 に着目して、研究を行ってきた。その結果、PD-L1/PD-1 シグナルは免疫抑制を引き起こし、OSCC の浸潤・転移に関与すること明らかにした。また、OSCC 細胞株を用いた実験結果より、PD-L1 高発現株で rhPD-1 の添加により細胞増殖が促進されること、および遊走能・浸潤能が亢進されることを明らかにし、その効果は抗 PD-L1 抗体の添加により減弱することも明らかにした。 以上のことから、OSCC の腫瘍微小環境において、PD-L1 から PD-1 への抑制シグナルにより細胞傷害性 T 細胞の免疫応答を抑制していることのみならず、PD-1から PD-L1 へのシグナル伝達により、細胞増殖、遊走・浸潤能を亢進している可能性が示唆された。 本研究期間において、PD-1/PD-L1 シグナル経路とは作用点の違う,T cell immunoglobulin mucin 3(Tim-3)/galectin-9(Gal-9)シグナル経路に着目した。腫瘍に発現する Gal-9 と,様々な免疫細胞に発現する Tim-3 が結合し,免疫応答を抑制すると報告されている。OSCC と Tim-3/Gal-9 シグナル経路との関連の詳細は不明であったが、本研究でOSCCではGal-9 陽性例は,遠隔転移の頻度が高く,生存率は低かった。また、OSCC において,Tim-3/Gal-9 陽性例は遠隔転移の頻度が高く,生存率は低くなることが示唆された。 Tim-3/Gal-9 の共発現は,遠隔転移の独立した危険因子であることを見出した。
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