研究課題/領域番号 |
21K17109
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分57060:外科系歯学関連
|
研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
金丸 博子 (塚田博子) 新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (30464019)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
|
キーワード | スフィンゴシン1リン酸 / 末梢神経 / 慢性疼痛 / 神経障害性疼痛 |
研究開始時の研究の概要 |
末梢組織損傷後の難治性疼痛の病態の中心は中枢神経における痛みの伝達経路の変化であると考えられている。よって、中枢神経を標的とした薬物療法が行われるが、副作用のために治療が中止される事も多い。そこで本研究では副作用の少ない末梢組織をターゲットとした治療法の開発を目指し、痛みの伝達経路の変化をもたらす末梢側の要因を追求する。組織損傷によって細胞膜から産生されるスフィンゴシン1リン酸(S1P)が末梢神経細胞を持続的に興奮させることを明らかにし、S1P投与による刺激が動物の疼痛関連行動に与える影響を評価する。
|
研究実績の概要 |
スフィンゴシン1リン酸は膜成分であるスフィンゴ脂質が損傷を契機に代謝されて生ずる脂質メディエーターであり、中枢神経の海馬では外部からのスフィンゴシン1リン酸による刺激が神経細胞の持続的な興奮を惹起することが報告されている。この持続的興奮は脱分極によらない神経の自然発火現象や異常興奮との関連が示唆されている。損傷を受けた末梢神経でも同様の現象が生じるとすれば、スフィンゴシン1リン酸による末梢感覚神経の持続的な興奮が上位の中枢神経の可塑性変化をもたらし、最終的に慢性疼痛を生じさせている可能性がある。組織損傷後に発生する慢性疼痛はしばしば難治性であり臨床対応に苦慮するが、末梢組織に起因した疼痛発生メカニズムを解明できれば、慢性疼痛発生の予防という新たな治療法の開発につながると考えられる。 本研究において、外部からのスフィンゴシン1リン酸の刺激に対する神経細胞の応答は、後根神経節より得られた培養神経を用い、神経伝達物質の放出によって解析する計画としていた。しかし、安定した結果が得られなかったため、下歯槽神経を用いた免疫学的手法による検討へと実験計画を変更し現在解析を進めている。具体的にはラットの下歯槽神経を切断し、切断部位に、スフィンゴシン1リン酸受容体に結合し多発性硬化症の治療薬として臨床使用されるフィンゴリモドを投与することにより、下歯槽神経軸索の再生が促進される可能性について現在検討中である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
培養神経細胞を用いた解析を予定していたが、神経伝達物質の放出に関するデータが安定して得られず実験計画を改めて策定することとなったため。これまで実績のある下歯槽神経切断モデルを使用した免疫学的手法による検討に方針を変更したため、解析に時間を要している。
|
今後の研究の推進方策 |
実験手法を変更し、これまで実績のある下歯槽神経切断モデルを使用することとした。また免疫学的手法による検討に方針を変更し、現在解析中である。下歯槽神経切断部位にスフィンゴシン1リン酸受容体へのアゴニストであるフィンゴリモドを投与することによって下歯槽神経軸索の再生が促進されるか、またアンタゴニスト投与によって神経再生へ影響が出るかどうかを解析する予定である。
|