研究課題
若手研究
頭頸部扁平上皮癌は、世界で第6 位の頻度で発症し、その半数近くは口腔癌で占められている。口腔癌治療の第一選択は外科療法であるが、進行例・再発例では外科療法後のリカバリー・リハビリテーションに難渋する症例が多い。このような外科療法を回避可能な新規治療薬として、PD-1 免疫チェックポイント阻害剤の臨床応用が開始され、優れた臨床効果を示している。しかしながら、その効果は一定の患者に限られており、その原因の究明とともに治療効果の向上を狙った併用薬剤の開発と治療効果予測因子の同定が期待されている。
骨髄由来抑制性細胞(Myeloid-Derived Suppressor Cell;以下MDSC)を標的とした新規治療薬として、既存の治療薬の他に口腔扁平上皮癌マウスモデルを用いた抗CD73抗体による実験系を予定したが、細胞毒性が強いため薬剤を変更した。免疫賦活剤として他の癌腫で注目されているPak4(P21-Activated Kinase4)阻害剤あるいはCD36阻害剤あるいはmTOR阻害剤(mammalian target of rapamycin)を用いて、治療実験系を行なった。in vitro T細胞増殖試験による機能解析によって、免疫抑制機能について評価した。抗CD73抗体を用いた予備実験を行なった結果、細胞毒性を強く認めた。そのため、2020年以降で、免疫賦活剤として口腔扁平上皮癌への応用が期待されているPak4(P21-Activated Kinase4)阻害剤あるいはCD36阻害剤あるいはmTOR阻害剤(mammalian target of rapamycin)を用いた実験系に変更した。結果、両者とも毒性に配慮した濃度でT細胞に好影響を与えることを実証した。MDSCの標的化戦略に基づいて抗腫瘍効果を、マウスモデルを用いた治療実験で検証した。Pak4阻害剤あるいはCD36阻害剤、mTOR阻害剤を用いて単剤による抗腫瘍効果に関与する免疫学的修飾効果を解析した。結果、Pak4阻害剤では通常型樹状細胞を増強しT細胞を活性化させ抗腫瘍免疫応答を増強することを確認した。CD36阻害剤では、MDSCを減少させ、相対的にT細胞分画を増加させるため抗腫瘍免疫応答が増強することを確認した。mTOR阻害剤では、MDSCならびに制御性T細胞を減少させ、キラーT細胞を増加・活性化することで抗腫瘍免疫応答を増強することを確認した。
すべて 2023 2022 2021
すべて 雑誌論文 (9件) (うち査読あり 9件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (22件)
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