研究課題/領域番号 |
21K17116
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分57060:外科系歯学関連
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
鳴瀬 貴子 広島大学, 病院(歯), 助教 (20795489)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | ACE2 / SARS-CoV-2 / アンギオテンシン変換酵素II / 口腔粘膜細胞 / 口腔粘膜上皮細胞 / 歯肉線維芽細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) の原因ウイルスである SARS-CoV-2 は細胞表面に存在するアンギオテンシン変換酵素 ACE2 を受容体として結合することが報告されている。ACE2 は口腔組織に発現していることが近年報告されているが,ACE2 の宿主免疫応答機構は不明である。今回,口腔粘膜における ACE2 のウイルス由来核酸の認識機構,宿主防御機構を明らかにし,最終的に SARS-CoV-2 などのウイルス感染に対する ACE2 の意義を明らかにする。
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研究実績の概要 |
新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) の原因ウイルスである SARS-CoV-2 は細胞表面に存在するアンギオテンシン変換酵素 ACE2 を受容体として結合することが報告されている。ACE2 は口腔組織に発現していることが近年報告されているが,ACE2 の宿主免疫応答機構は不明である。本研究は口腔粘膜におけるウイルス感染に対するACE2 の新規宿主免疫応答機構を解明することを目的とする。 2023年度は下記について検討した。 ①核酸導入によって誘導されるACE2 の発現誘導を活性化する因子を検討するため, IFN-γ, TNF-α,IFN-βの影響について検討した。その結果、RT7においてdsRNAとIFN-γ, dsDNAとTNF-αを同時添加した場合にACE2の発現が有意に増加した。また, IFN-βを添加した場合はdsRNA, dsDNAいずれにおいてもACE2の発現が有意に増加した。一方、GT1においてはdsRNA、dsDNAにIFN-γ, TNF-α,IFN-βを添加してもACE2の有意な増加は認められなかった。 ②SARS-CoV-2のSpike蛋白はACE2に結合し, 宿主の免疫応答を調節すること, Spike蛋白によって免疫細胞よりCXCL10が誘導されることが報告されている。口腔粘膜細胞におけるIFN-γ, TNF-α,IFN-βで誘導されるCXCL10に対するSpike蛋白の影響とACE2の関与について検討した。口腔粘膜細胞にSpike蛋白を単独で導入してもCXCL10の上昇は認めなかった。一方、RT7にSpike蛋白とIFN-γ, TNF-α,IFN-βを導入した場合,IFN-γ, IFN-βを導入した場合にCXCL10の有意な上昇が認められた。GT1においてはTNF-α,IFN-βを導入した場合にCXCL10の有意な上昇が認められた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画書に記載した目的のうち、上記に示すように、核酸導入によって誘導されるACE2 の発現誘導を活性化する因子、および免疫応答を活性化させる因子について検討した。ACE2 を特異的 siRNAによって抑制させた際の影響については現在研究途中である。
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今後の研究の推進方策 |
下記内容について検討していく予定である。 ①ACE2 抑制,過剰発現による核酸で誘導される新規免疫応答機構の解析のため,中和抗体によって ACE2 の発現が抑制された株や ACE2 過剰 発現株とコントロール株における核酸導入で誘導される遺伝子発現の比較をマイクロアレイによって網羅的に解析し,ACE 2 を介して誘導,抑 制される遺伝子群を抽出する。その後免疫応答経路のパスウエイ解析を行う。またそれらの経路の転写阻害剤を用いて核酸で誘導される炎症応 答の影響を検討し,キー蛋白を解析する。
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