研究課題/領域番号 |
21K17121
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分57060:外科系歯学関連
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研究機関 | 埼玉医科大学 |
研究代表者 |
飯島 洋介 埼玉医科大学, 医学部, 講師 (10867196)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 末梢神経障害 / 抗がん剤有害事象 / 抗がん剤誘発性 / 神経保護物質 |
研究開始時の研究の概要 |
がんの治療法が多様化している現在においても、化学療法は依然として治療の中心に位置している。がん治療を阻む要因の一つとして副作用がある。化学療法とともに一部の免疫療法では様々な有害事象を伴い、口腔領域では口腔粘膜炎、味覚異常、唾液分泌障害や知覚過敏などの感覚異常が挙げられ、患者のQOLを低下させている。本研究では、種々の抗がん剤や分子標的治療薬が生じさせる末梢神経障害を、in vitroおよびin vivoで分子機序を解明するとともに、神経細胞を保護する物質ならびにバイオマーカーを探索することにある。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、抗がん剤有害事象の一つである末梢神経障害を緩和する物質を探索し、その作用機序を解明することである。抗がん剤誘発性末梢神経障害の発生は、抗がん剤の種類、投与量によって決まるが詳細は不明な点が多い。 本年度は、抗がん剤とのコンビネーション実験で抗酸化剤が神経毒性を減弱するという結果の再現性を得る為に神経毒性が問題となる白金製剤、タキサン系、プロテアソーム阻害剤に絞り検討した。まず、各種抗がん剤の50%細胞生存率を測定するためにMTTアッセイを行い、抗酸化剤と各種抗がん剤とのコンビネーション実験を行った。その結果、プロテアソーム阻害剤と抗酸化剤の組み合わせがもっとも神経毒性を緩和した。最も神経毒性を緩和する濃度で抗酸化剤を調整し、神経様細胞、口腔がん細胞の細胞周期解析をフローサイトメーターで行ったところ、アポトーシスを起していた細胞の生存率が上昇していることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験に使用する抗がん剤は、作用機序が異なるものを使用する必要があったが、ほぼ網羅することができた。抗がん剤誘発性末梢神経障害の報告が多い、白金製剤、微小管阻害剤、タキサン系抗がん剤、プロテアソーム阻害剤は、多種類使用し相違点を検討中である。薬剤を組み合わせるコンビネーション実験では、抗がん剤と相乗効果を認める薬剤は確認できていないが、神経毒性を緩和する薬剤が人体に無害の抗酸化剤から確認できたことは、大きな進歩である。神経毒性を緩和しうる抗酸化剤が数種類同定できたため今後新たに神経毒性を緩和しうる物質が同定される可能性がある。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、白金製剤、タキサン系抗がん剤による末梢神経障害を緩和する抗酸化剤について検討を行う。神経毒性を緩和しうる抗酸化剤の中で最も効果的であった物質については、作用時間の検討も行って行く予定である。また抗酸化剤が抗がん剤の抗腫瘍効果へ影響を与えるかコンビネーション実験を行い、安全性が担保されるようであれば抗がん剤末梢神経障害モデルマウスでの動物実験を開始する予定である。
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