研究課題/領域番号 |
21K17136
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分57060:外科系歯学関連
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
村瀬 友里香 岡山大学, 大学病院, 助教 (70803708)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2021年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | CCN2 / AGEs / 軟骨 / 石灰化 / 内軟骨性骨化 |
研究開始時の研究の概要 |
発生・成長期に不可欠な内軟骨性骨化過程の“軟骨基質の石灰化”には、未開拓の制御メカニズムが残されている。 本研究では、「糖代謝派生産物AGEsと糖代謝調節因子・軟骨分化促進因子CCN2が制御し合って、“軟骨基質の石灰化”を調節する」という新たなメカニズムを解明する。 このメカニズムを解明できれば、骨・軟骨形成に異常をきたす疾病の原因・病態究明、治療法開発への貢献が期待できる。
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研究実績の概要 |
本年度の計画は、昨年度に引き続き、内軟骨性骨化過程におけるAGEsレベルの変動、軟骨においてAGEsがCCN2の発現・産生に及ぼす影響、軟骨においてCCN2がAGEsレベルに及ぼす影響、AGEsとCCN2が内軟骨性骨化過程の“軟骨基質の石灰化”に及ぼす影響を調べることであった。 HCS-2/8において、外部から加えるAGEs-BSAの濃度によってCCN2の発現変動が異なるかを調べたが、結果のばらつきが大きく、CCN2の発現が亢進する条件を見出せなかった。昨年度報告したRAGE拮抗剤FPS-ZM1を用いた実験結果を考慮すると、CCN2の発現は、AGEs-RAGEシグナルにより誘導される可能性が推測される。AGEsは濃度依存的に細胞内に取り込まれ、細胞内の活性酸素種レベルを上昇させるとの報告がある。一昨年度報告した過酸化水素添加実験の結果を考慮すると、CCN2の発現は、細胞内に取り込まれたAGEsにより制御される可能性も推測される。 HCS-2/8においてCCN2をノックダウンし、細胞内/外AGEsレベルが増/減するかを調べたが、結果のばらつきが大きく、立証できなかった。研究協力者らは、CCN2がLRP1を介したエンドサイトーシスにより軟骨細胞内に取り込まれ、リソソーム等に局在することを報告している。一方で、AGEsはLRP1と高い相同性を示すLRP2を介したエンドサイトーシスにより細胞内に取り込まれ、リソソームで分解されるとの報告がある。細胞外に蓄積したAGEsは、CCN2とともにエンドサイトーシスにより細胞内に取り込まれ、リソソームへ輸送され分解される可能性が推察される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
AGEsとCCN2の制御連関については、部分的に成果が得られているが、それが軟骨基質の石灰化に及ぼす影響については、成果が未だ得られていない。 想定外の診療業務による実験の中断、使用していた試薬の販売中止、研究実施場所の工事・変更、ロシア・ウクライナ情勢に伴う物流の停滞・輸送の遅延により実験日程を立てることが困難で、一部の実験は着手することも困難であった。 以上より、進捗状況は遅れていると言える。
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今後の研究の推進方策 |
1. 軟骨細胞において、AGEs-RAGEシグナルによりCCN2の発現が誘導されるかを調べる。 2. 軟骨細胞において、AGEsが濃度依存的に細胞内へ取り込まれるか、またそれが外部から加えるCCN2により促進されるかを調べる。 3. AGEsとCCN2の制御連関に伴って軟骨細胞のアポトーシスが誘導されるか、また誘導されたアポトーシスにより軟骨基質の石灰化が促進されるかを調べる。
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