研究課題/領域番号 |
21K17142
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分57060:外科系歯学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
坂本 瑞樹 九州大学, 大学病院, 医員 (90848029)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | シェーグレン症候群 / オートファジー / マクロファージ / TLR8 / 自然免疫 / CD4陽性ヘルパーT(Th)細胞 / Th細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
SSは涙腺・唾液腺が障害される臓器特異的自己免疫疾患であり、病態にはTh細胞が重要な役割を果たしている。炎症性サイトカインを標的とした生物学的製剤が開発され、一部の自己免疫疾患では治療効果が得られているがSSに対する効果は限定的である。それはSSの病態形成にTh細胞由来の多種のサイトカインが関与し、単一のサイトカインを阻害しても病態進展を阻止できないためだと推察される。またオートファジーの異常が炎症性サイトカインの過剰産生を促すことも報告されている。本研究ではSSにおけるオートファジー関連分子の発現・機能を解析し、サイトカイン産生を制御する上流分子を標的とした新規治療薬・診断法の確立を目指す。
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研究実績の概要 |
シェーグレン症候群(SS)は、唾液腺や涙腺などの外分泌腺が障害される臓器特異的自己免疫疾患であり、その発症・病態形成にはTh細胞が重要な役割を果たしていることが示唆されている。 一方、最近の報告ではオートファジーの機能不全が炎症性サイトカインの過剰産生を促進し、自己免疫疾患の発症に関与することが報告されている。本研究では、SSの病因に関与するオートファジー関連遺伝子を抽出し、新規治療法開発および診断方法の基盤を築くことである。先行実験として、オートファジーに関与する新規疾患感受性遺伝子の同定を目的にSSの口唇腺を用いてDNAマイクロアレイを行い、45種類のオートファジー関連遺伝子が抽出され、SSの病態形成にもオートファージが関与していることが示唆された。他方DNAマイクロアレイの結果から、自然免疫に重要な役割を果たすTLR関連分子、特にTLR1、7、8、9 の遺伝子発現の亢進を認めた。そこでさらに症例数を増やしPCRを行ったところ、SSではTLR7と8の発現量が有意に増加していた。蛍光免疫多重染色でもいずれも発現を認めたが、その局在は明らかに異なった。TLR7とSSの関与についてはすでに報告が散見されたため、今回はTLR8に着目し検討を進めた。続いて、蛍光免疫染色とその定量解析を行ったところ、SSにおけるTLR8 の主な発現細胞はCD68 陽性細胞(mono/Mφ)単球・マクロファージであることが示唆された。刺激実験を行ったところ、TLR8依存的にヒト単球のTNF-α 産生が促進されていることが明らかとなった。また、SSの口唇腺をCD45で抽出し、シングルセル解析を行うと、TLR8陽性細胞は全てがCD68陽性細胞と一致していた。このことから、単球/マクロファージはTLR8 刺激を介してTNF-αを産生して、Th1誘導型炎症を惹起し、SSの発症に関与していることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
電子顕微鏡によるオートファゴソームの観察やオートファジーフラックスアッセイといったオートファジーの活性を検証するの確立ができていない一方で、新たに着目した分子に関する検証に時間を要したため。
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今後の研究の推進方策 |
今後はSSの病態形成に関与するTh細胞に焦点を当てて、SS患者および慢性唾液腺炎患者の口唇腺に浸潤するTh細胞を単離して(CD3+CD4+ 細胞をソーティング)、 さらにDNAマイクロアレイにて網羅的解析を行う。またオートファジー活性の検証を進める。さらに新規で着目したTLR8については、その機能解析を進め、オートファジーとの関与についても検証する。
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