研究課題/領域番号 |
21K17147
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分57060:外科系歯学関連
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研究機関 | 九州歯科大学 |
研究代表者 |
西牟田 文香 九州歯科大学, 歯学部, 助教 (20808406)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | 口腔がん / スフェロイド / 3次元培養 / がん幹細胞 / 糖鎖 / 細胞外マトリックス |
研究開始時の研究の概要 |
口腔がんについては、他臓器同様、がん幹細胞を標的とした治療法確立のため、幹細胞の発現・維持機構の解明が急務とされる。組織内で微小環境を形成するがん細胞の形態学的・遺伝学的特性の維持のため、スフェロイドによる培養法が注目されている。我々は、従来の低接着性プレートでは困難な、均一かつ大量のスフェロイドを作製可能なデバイスを開発した。このデバイスで作製した口腔がんスフェロイドは、幹細胞マーカーや抗がん剤に対する抵抗性が亢進していた。そこで本申請研究では、新規デバイスで作成されたスフェロイド内の細胞外マトリックス由来の糖鎖シグナルに着目し、不明な点が多い口腔がんの幹細胞化の分子機構を解明する。
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研究成果の概要 |
組織内で微小環境を形成するがん細胞の形態学的・遺伝学的特性の維持のため、従来の低接着性プレートでは困難な、均一かつ大量のスフェロイドを作製可能なマイクロウェルチップを開発した。このチップに播種した口腔がん細胞は速やかに凝集後、辺縁平滑なスフェロイドを形成し、その形態は培養後5日目においても維持されていた。形成されたスフェロイドは生細胞を主体としていた。スフェロイドの構成細胞は、従来の2次元培養群と比較して幹細胞性が亢進しており、抗がん剤に対する感受性の低下が観察された。さらにスフェロイドよりoutgrowthさせた細胞についても幹細胞性の維持が確認された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
がん幹細胞は、難治性の根源であると考えられ、これらを標的とした治療が新たな治療戦略として注目を集めている。口腔がんに対しても、同様の治療戦略の確立が急務であるが、従来の二次元培養した口腔がん細胞に含まれる幹細胞は20%以下であり、その単離は煩雑である。本申請で開発したマイクロウェルチップは、簡便に口腔がん細胞の幹細胞化が誘導可能であり、幹細胞化の分子機構の解明や、関連分子の標的化による薬剤抵抗性の獲得防止を目剤した治療戦略の提案へと繋がることが期待される。 また同チップはデザインの自由度が高く、がん細胞以外の細胞にも応用可能な汎用性の高い、革新的な三次元培養法を提案できるものと確信している。
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