研究課題/領域番号 |
21K17154
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分57070:成長および発育系歯学関連
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
小野 岳人 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教 (40772471)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 歯科矯正学 / 骨免疫学 / 運動器科学 / 骨芽細胞 / 破骨細胞 / 骨細胞 / 歯根膜細胞 / 骨代謝学 / 矯正歯科治療 / 骨代謝 / バイオメカニクス / 骨吸収 / 歯根膜 / メカニカルストレス |
研究開始時の研究の概要 |
矯正歯科治療時には、矯正装置によって歯に力を付加する。このとき、歯を植立する歯槽骨のうち、移動する側では骨の吸収が、反対側では骨の形成がそれぞれ誘導される。この「力を受けた部分で骨が吸収される」という現象は歯科医学においては広く認められているが、整形外科をはじめとする医学領域では力を受けた部分では骨形成により強化されることが常識であり、力による骨吸収現象は極めて異質である。歯と歯槽骨の間には歯根膜が介在しているが、矯正学的歯の移動における歯根膜の機能は不明である。研究代表者は、歯の移動における歯根膜の機能の解明を本研究の目的とした。
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研究成果の概要 |
矯正学的歯の移動では、歯根周囲の歯槽骨で骨リモデリングが起こる。歯根と歯槽骨の間には歯根膜が介在するが、この線維性結合組織の機能には不明な点が多い。本研究では、矯正学的歯の移動における歯根膜の機能の解析に取り組んだ。その結果、矯正力の付加に伴いIL-6の発現が上昇することを見出した。阻害剤や抗体を用いたloss-of-functionの実験により、IL-6は破骨細胞の形成を促進することで歯の移動を促進することが示された。さらに、IL-6は矯正に伴う疼痛も誘導することが見出された。以上より、矯正歯科治療時の歯の移動と疼痛発生においてIL-6は重要な役割を果たすことが明らかになった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究成果により、矯正歯科治療における歯の移動と疼痛発生のメカニズムの一端が示された。矯正歯科治療においては、矯正力により移動させる歯とは別の歯には反力が発生する。この力により移動すべきでない歯が移動しないよう固定する必要がある。矯正時に産生されるIL-6が歯の移動を惹起することから、薬物の局所投与によりこれを阻害することで固定の強化が可能になると考えられる。同時に、固定歯に生じる疼痛も抑制できる。矯正治療における歯の移動はもっぱら矯正装置の設計によるフォースシステムに依存しているが、薬物療法の併用により矯正歯科治療の効率化が期待できる。
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