研究課題/領域番号 |
21K17179
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分57070:成長および発育系歯学関連
|
研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
北見 公平 新潟大学, 医歯学系, 助教 (20804579)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2022年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2021年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
|
キーワード | 歯根膜 / 幹細胞 / 矯正学的歯の移動 |
研究開始時の研究の概要 |
歯と歯槽骨をつなぐ歯根膜は、加わる力に鋭敏に反応しながらもその構造を維持している。しかし力がどの様に受容され、いかにして歯周組織の維持に不可欠な細胞の制御に至るのか、その詳細は不明である。本研究は、歯根膜からの分泌性タンパクと歯槽骨からの分泌性タンパクが歯周組織に及ぼす影響の相似性に着目し、歯根膜と歯槽骨による力学的刺激への階層的応答メカニズムを明らかにしようとするものである。本研究で力学的刺激を起点とする歯周組織改変のプロセスを詳細に解析することにより、歯周組織の維持に関わる階層的な分子基盤の理解、および新たな生物学的根拠に基づく矯正歯科治療法の開発に寄与する。
|
研究実績の概要 |
歯根膜を含む歯周組織は、力学的刺激に極めて鋭敏に反応しながらも、その構造を維持している。しかし、歯周組織においてどのように力学的刺激が受容され、歯周組織の維持・改変に不可欠な幹細胞の挙動をいかにして制御しているか、その詳細は明らかではない。本研究は歯根膜細胞が分泌するPeriostinと骨細胞が分泌するScrerostinが歯周組織に及ぼす影響の相似性に着目し、歯根膜幹細胞の挙動を経時的に追跡することで、歯根膜と歯槽骨による力学的刺激への階層的応答メカニズムを明らかにしようとするものである。転写因子Gli1は発生期における歯周組織の形態形成に重要なことが知られているが、歯根完成後の歯根膜において、Gli1を発現する細胞が、未だ詳細な所在が明らかになっていない歯周組織幹細胞である可能性が示唆されている。歯根膜Gli1陽性細胞は歯槽骨内に存在する骨細胞からの制御を受けていることが示唆されており、力学的刺激から歯周組織改変に至るプロセスが歯根膜単独で行われているわけではないと考えられる。一方で歯根膜と比較して非圧縮性の低い歯槽骨が力学的刺激受容の起点であるとは考えにくい。そこで幹細胞を制御する歯槽骨骨細胞を、さらにその上流から制御する因子が歯根膜に存在しているという仮説にいたった。標的遺伝子をノックアウトしたマウスを作成し、歯根膜幹細胞の挙動を追跡することで、歯周組織の階層的応答メカニズムを明らかにする本研究の着想を得た。薬剤投与により時期特異的にGli1陽性細胞を標識できる遺伝子改変マウスを使用し、GLi1陽性細胞の時空間的分布の変化を追跡した。その結果、歯根完成期には根尖部周囲にGli1陽性細胞が分布しており、その細胞群に由来する細胞は、時間経過とともに歯根膜全体へと分布を拡大していた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウイルス感染拡大の影響により、使用する実験動物の管理運営上、規模を縮小せざるを得なくなり、実験が大幅に停滞した。また、使用している遺伝子改変マウスの薬剤による標識効率が低下し、Gli1陽性細胞の追跡が困難になる事象が発生した。遺伝子改変マウスの系統維持のための交配条件に問題がある可能性が出てきたため、交配条件の変更と薬剤による標識条件の洗い出しに時間を要した。
|
今後の研究の推進方策 |
Gli1陽性細胞の追跡をより詳細に行う。また、矯正力を負荷したマウスモデルを使用し、力学的負荷による幹細胞の挙動変化について、時空間的な挙動を詳細に明らかにする。
|