研究課題/領域番号 |
21K17192
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分57070:成長および発育系歯学関連
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研究機関 | 日本歯科大学 |
研究代表者 |
栃木 啓佑 日本歯科大学, 生命歯学部, 助教 (60769909)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | 矯正力 / マウスピース型矯正装置 / システムの開発 / 歯根吸収 / 歯根膜 / 触覚センサ |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、矯正歯科治療で歯根吸収が多く認められる上顎中切歯の根尖部に加わる矯正力を測定可能な計測システムの開発を行う。最終的には、エッジワイズ装置やマウスピース型矯正装置を装着して矯正力を加えた時に、根尖部に加わる力を装置間で比較を行い、分布の特徴の違いを明らかにしていく。 この研究により、マウスピース型矯正装置での治療の限界、さらには歯根吸収のリスク、マウスピース型矯正装置での治療の際の症例の選択方法などが明らかになり、効率の良い安全な矯正歯科治療を提供できるようになると考えられる。
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研究実績の概要 |
マウスピース型矯正装置(以下アライナー)は審美性が高いため、使用を望む患者は多く、現在、矯正歯科治療で広く用いられている。 アライナーを用いた治療の効果に関する近年のシステマティックレビューによると、アライナーでは、歯根のコントロールが困難であることや治療期間が長いことが報告されている。さらに歯根吸収については、アライナーではエッジワイズ装置と比較して歯根吸収の量が有意差に少ないという報告や有意差が認められなかったという報告があり、一致が認められていない。このように、アライナーを用いた治療に関する問題点が報告されてきているが、アライナーによるバイオメカニクスに関する研究は限られている。 そこで本研究では、アライナーを装着した際の根尖に加わる力を直接計測し、アライナーを用いた治療での矯正力の分布の特徴を明らかにすることを目標とした。 令和4年度は、計測システム(以下アライナー矯正力測定システム)の製作を行い、まずは予備実験として歯の転位量とアライナーによる矯正力の関係を調べた。 新たに開発した本システムは上顎歯列模型(ニッシン製、全顎模型D51-SC. 94)、6軸力覚センサ、レーザー偏位計、マイクロメータ、およびゴニオメータで構成されている。まず上顎歯列模型を改造し、上顎右側中切歯の唇側舌側方向の位置を調整できるようにした。次に上顎右側中切歯に加わる力が計測できるように、根尖部に6軸力覚センサを設置した。その後、マイクロメータを用いて上顎右側中切歯を唇側もしくは口蓋側に0.05 mmごとに最大0.25 mmまで転位させ、アライナーを装着したときに歯冠に加わる矯正力を三次元的に計測した。その結果、転位量の増加とともに、矯正力は、線形に増加する傾向を示し、さらに転位方向によって矯正力の大きさが有意に異なっていた。特に垂直方向の力では転位方向によって傾向が異なっていた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和4年度では、アライナー矯正力測定システムの構築の完了を目標にしていた。現在、アライナー矯正力測定システムでは歯冠に加わる力が計測できるようになっていて、精度の検証も完了している。根尖部に加わる力が計測できるようにさらなるシステムの改良を行っている。 さらに、アライナー矯正力測定システムの構築と並行して令和元年から行っている根尖部矯正力測定システムを用いて歯冠に加えた矯正力と根尖に加わる力の関係についてデータをまとめ、学会発表と論文の投稿を行った。 そのため、当初の目標について少し遅れてはいるものの、おおむね順調に達成できたと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度中にアライナー矯正力測定システムで根尖部に加わる力を計測する。本システムと以前製作した根尖部矯正力測定システムも用いながら、アライナーを装着した際、根尖に加わる力について分析を行う。 その後アライナーを用いた治療での限界について検討を行い、研究結果をまとめ、学会発表や論文の執筆を行い、アライナー矯正力測定システムについて公表していく予定である。
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