研究課題
若手研究
国内外において口蓋裂研究は行われている。これまで、口蓋形成時に左右の口蓋突起が癒合しないことで口蓋裂を発症するという説が一般的であり、口蓋が癒合しない原因について様々な研究が行われてきたものの、その解明には至っていない。一方、本研究は口蓋裂の発症機序の一つとして、一度癒合した口蓋が離開に転じることによって口蓋裂を発症する場合があることを示しており、今後の口蓋裂研究において、口蓋癒合後の離開による口蓋裂の発症機序を解明することにより口蓋の離開を阻止する要素が発見される可能性が考えられ、国内のみならず世界的に新しい口蓋裂発症予防法の確立につながることが期待される。
申請者は、口蓋裂発症機序について研究しており、特に、一旦癒合した口蓋が離開する機序について、基底膜の断裂によって離開することを明らかにしてきた(Sakuma: J Craniomaxillofac Surg. 46(12):2027-2031, 2018)。これまで、TCDD投与群の口腔粘膜の基底膜の断裂を認めた部位では、E-cadherinの消失を認めたことから、一度癒合した口蓋部における基底膜の破断と上皮組織の異常増殖や細胞間接着の低下と間葉系細胞の増殖阻害が複雑に影響し、上皮間葉転換の異常を生じて口蓋裂を発症する可能性があることを報告した(Sakuma: Int J Mol Scu. 23(4):2069, 2022)。さらに、TCDD投与マウスの口蓋前方から中央部付近にかけて癒合している個体の口蓋後方では口蓋は離開しており、口蓋突起の上皮組織が確認されていることから、一旦癒合した口蓋が離開する機序において離開した口蓋部の上皮組織や基底膜の異常を明らかにし、口蓋が離開していくメカニズムを明らかにしようとしているが、未だ十分な結果は得られておらず、継続して研究を進めている。また、申請者は他の研究者と共同で、ベトナム人における非症候性口唇・口蓋裂(NSOFC)の病因について、527 の症例-親トリオと 527 の対照サンプルを収集することにより、さまざまな NSOFC 表現型に基づいて層別分析を実施した。IRF6 rs2235375 と NSCLP および NSCL/P との関連について明らかにし、NSCL/Pに関連する新規マーカーとしてIRF6 rs846810、NSOFCに関連するIRF6のrs2235375-rs846810のハプロタイプG-GおよびC-Aを同定した(Pham LNG, Sakuma: Genes(Basel) 14(11):1995, 2023)。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (3件)
Genes
巻: 14 号: 11 ページ: 1995-1995
10.3390/genes14111995
Int J Mol Sci.
巻: 23(4) 号: 4 ページ: 2069-2069
10.3390/ijms23042069