研究課題/領域番号 |
21K17235
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分58010:医療管理学および医療系社会学関連
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
兼安 貴子 立命館大学, 生命科学部, 助教 (90875923)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2024年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
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キーワード | 患者・市民参画 / PPI / Patient Engagement / 医療技術評価 / PE:Patient Engagement / Preference / 意思決定支援 |
研究開始時の研究の概要 |
医薬品・医療機器などの医療技術評価(Health technology assessment: HTA)には新技術の導入における様々な利害関係者が示すデータの受け入れに関する問題が伴うため、英国・カナダ・オーストラリア・台湾などではこの制度への患者・市民の参画が制度化されている。しかし日本では、制度導入前には患者・市民の参画が課題とされたが、その後の研究は十分になされてはいない。 本研究では、諸外国のHTA制度における患者・市民参画の現状と近年、欧州で特に課題とされている患者・市民の選好性に関するデータの扱いを調査し、日本への適用に向けた課題を整理する。
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研究実績の概要 |
2019年に日本においてもようやく、医薬品・医療機器などの医療技術評価(Health technology assessment: HTA ) を実施する新制度(日本では「費用対効果評価制度」)が本格稼働した。しかし諸外国のHTAで進む患者・市民の参画(Patient and public involvement: PPI)に関する研究は十分に調査・検討されていない。
2023年は中央社会保険医療協議会(中医協)の議事録の整理から、日本のHTAの各プロセスにおける患者・市民の参加は制度開始時(2019年)から実施されているものの、参画というには極めて限定的なものであり、制度の見直しにあたっても尚、その目的や意義は十分には議論されていない事を確認した。一方、諸外国の報告のレビュー(3,200件余の候補から、25報を精査)からは、HTAにおけるPPIの意義が、関連性、公平性、公正性、正当性、PPIを通した能力開発にあることを確認した。レビュー対象の報告では、償還の可否に関わらず豪州、加州、英国のHTA機関のプロセスが参照されていることを確認し、これら3か国のHTAでは各プロセスの議論に患者・市民の代表が参加するほか、様々な方法でHTAに対するinputが行われていた。 2020年に日本で実施した予備調査では、日本の患者・市民における PPIへの認知は極めて低く、これらを知る機会も限られていることが確認された。日本のHTAにおけるPPI拡充のためには、制度の見直しに伴うPPIの実装に関する議論や患者・市民のHTAへの認知を高めるための方策と患者・市民の参画を容易にするための環境づくりが必要であると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度の試験的なレビューから、日本と同様「価格調整にHTAを利用している国の事例」をまとめることを通し、今後の日本の制度に対する提言を行う事を検討していたが、多様な制度に対応するPPIの一般化において、償還の可否の枠を設ける事は有用ではなく、レビューを再度実施した結果、当初の計画に沿った3か国(豪州、加州、英国)のHTA機関のプロセスが、「価格調整にHTAを利用している国」でも多く参照されており、日本の今後の制度に資する方策もこれらの中に見られる事を確認した。 2020年に日本で実施した予備調査の結果は現在投稿中であり、2023年に実施したレビューの結果は2024年5月の国際学会にて報告の予定である。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、2023年に実施したレビューの結果の論文化と日本の患者会・PPI推進の関係者や日本のHTA関係者に対し、以下(i)―(ⅲ)に関する調査を検討する。 (i)PPIの価値(ⅱ)PPIへの障壁と提案(ⅲ)諸外国のbest practiceと日本への適用
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