研究課題/領域番号 |
21K17274
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分58020:衛生学および公衆衛生学分野関連:実験系を含む
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研究機関 | 群馬パース大学 |
研究代表者 |
岡山 香里 群馬パース大学, 医療技術学部, 准教授 (10780116)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | human papillomavirus / 子宮頸部細胞診 / 子宮頸がん検診 / 子宮頸部上皮内病変 |
研究開始時の研究の概要 |
ヒト乳頭腫ウイルス (human papillomavirus: HPV) 検査を導入する子宮頸がん検診法において、HPV感染者の細胞診標本上にHPV感染細胞が高頻度に出現することにより、一過性感染の過剰診断と不必要な生検の増加が懸念されている。 本研究では、子宮頸部細胞診による一過性HPV感染および上皮内病変の進展を予測するため、MicrodissectionによるHPV感染細胞のHPV遺伝子の網羅的解析と予後調査を行う。これにより、HPV遺伝子型に特異的な異型細胞を同定し、上皮内病変進展との関連性を解明する。これらの研究から、上皮内病変の早期発見、過剰診断や不必要な生検の低下に貢献する。
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研究実績の概要 |
ヒトパピローマウイルス (Human Papillomavirus; HPV) のいくつかの遺伝子型は、子宮頸部細胞にコイロサイトや多核細胞など様々な形態学的変化を引き起こすが、HPV遺伝子型と種々の形態学的変化との関連性は明らかになっていない。私たちはこれまでに、Microdissection法およびuniplex E6/E7 PCR法によるHPV遺伝子型の網羅的解析からコイロサイトが低悪性度のHPV遺伝子型によって生じることを明らかにした。 2023年度はPapanicolaou染色標本におけるmanual microdissection (MMD) 法の最適条件を検討した。加えて二核細胞、異角化に着目し、HPV遺伝子型を包括的に分析した。 SurePath法による液状細胞診検体を使用してPapanicolaou染色標本を作製し、湿潤標本と乾燥標本において、それぞれ46個と50個のコイロサイトを使用し、HPV検出率に基づいてMMDを使用した標的細胞分離の成功率を検証した。MMDによる細胞分離後、針先を細胞溶解液に浸漬すると、乾燥標本と湿潤標本で細胞の溶解度に違いが見られた。細胞溶解液を用いた遺伝子型解析により、HPV42は乾燥標本と湿潤標本の97.4%でそれぞれ検出された。結果より、MMDを使用した湿潤標本からの標的細胞の分離により、汚染のリスクが軽減され、HPV 検出の成功率が向上した。 上記に加え、Uniplex E6/E7 PCR法、MMD法を用いて二核細胞、異角化、巨細胞との関連をロジステック回帰分析にて解析した結果、二核細胞はHPV42、異角化はHPV40などと有意に関連していた。しかし、二核細胞や異角化細胞からのMMD法による特定のHPV遺伝子型の検出は困難であった。したがって、二核細胞、異角化細胞、巨細胞の存在は、低悪性度扁平上皮内病変以上の子宮頸部病変や発がん性の高いHPV遺伝子型の感染を予測するものではない可能性がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
HPV感染細胞に存在するHPV遺伝子型の網羅的解析に関して、多核細胞、二核細胞、異角化、巨細胞はすでに解析済みであり2023年度に論文として報告しているため、進捗状況の区分をおおむね順調に進展しているとした。
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今後の研究の推進方策 |
HPV感染による細胞変化に対して、Microdissection法およびuniplex E6/E7 PCR法を実施して特定のHPV遺伝子型への関与の有無を調べる。また、HPV感染細胞に存在するHPV遺伝子の網羅的解析が終了し次第、「前向き研究による各種感染細胞の存在/非存在」に着手する。この研究に関しては、子宮頸がん検診において細胞診検査で新たな付加的情報を提供するため、解析検体数を増やす予定である。
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