研究課題/領域番号 |
21K17276
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分58020:衛生学および公衆衛生学分野関連:実験系を含む
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
木戸 尊將 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (40633152)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 亜鉛 / 腸管免疫 / 分泌IgA / 2型ヘルパーT細胞 / バクテリアトランスロケーション / グラム陰性桿菌 / 腸内細菌叢 / IgA / 炎症反応 |
研究開始時の研究の概要 |
亜鉛は感染防御や炎症応答の抑制などの免疫機能に重要な働きを担っている.しかし、現在の日本人は亜鉛摂取が不足しており、亜鉛不足に起因する免疫機能の低下が問題となっている。本研究では、亜鉛欠乏症に伴う腸管免疫機構への影響を解明するために、小腸粘液中の分泌IgAとその産生に関与する免疫細胞に焦点を当て検討する。 そして、先行研究において確立したインターロイキン-4投与または亜鉛補充を施すことで、腸管免疫機構や腸内細菌叢を改善させられるのか研究する。
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研究実績の概要 |
【目的】食生活の変化・偏りによる必須微量元素「亜鉛」の欠乏が指摘されている。我々はこれまで亜鉛欠乏が胸腺・脾臓・末梢血中の免疫細胞に与える影響を解明してきた。本研究では、近年のトレンドである腸管免疫に着目し、腸管バリアーである分泌IgA(sIgA)の低下と、これに伴うバクテリアトランスロケーション(腸内細菌が腸管上皮透過し、体内に移行)の誘発について検討した。 【方法】雄SDラットに標準食(0.01%亜鉛含有)または亜鉛無添加食を毎日17gずつ6週間与えた(各群N=7)。モデル作製後に小腸を摘出し、小腸粘液中のsIgA濃度をELISA法で測定した。FACS解析と免疫組織化学染色を用いて、小腸粘膜固有層内のB細胞数(CD3-; B220+)、形質細胞数(CD138)、2型ヘルパーT (Th2) 細胞数(GATA-3, IL-4, IL-5)を計測した。さらに、バクテリアトランスロケーションの指標として、門脈血と小腸組織中のリポポリサッカライド(LPS)をELISA法と免疫組織化学染色を用いて検出した。 【結果】亜鉛欠乏ラットでは、小腸重量の低下と絨毛の萎縮が認められ、小腸粘膜固有層内のTh2(GATA-3, IL-4, IL-5)細胞数、B細胞数、形質細胞数が有意に減少し、小腸粘液中のsIgA濃度が有意に低下した。また、門脈血のLPS濃度と小腸組織中のLPS陽性領域が有意に増加した。 【考察】亜鉛欠乏ラットの小腸では、絨毛の萎縮に伴いリンパ球数が減少した。B細胞と形質細胞のsIgAの産生には、Th2細胞から産生されるIL-4とIL-5の誘導が必要であるため、Th2細胞、B細胞、形質細胞数の減少に伴いsIgAの産生が低下した。、腸管バリアーが減弱したことで、腸内細菌は腸管上皮を透過し、門脈を介して他臓器に移行するトランスロケーションが生じていることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在、本研究に関連した論文を国際誌に投稿中である。また、より詳細な機序としてグラム陰性桿菌が腸管上皮を透過していることを発見しており、本申請内容以上に研究が進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
腸管上皮のタイトジャンクションのタンパク定量を行い、亜鉛欠乏による影響を検討する。また、本研究から粘膜固有層内のB細胞数が減少した原因を調査する予定である。
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