研究課題/領域番号 |
21K17278
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分58020:衛生学および公衆衛生学分野関連:実験系を含む
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研究機関 | 修文大学 |
研究代表者 |
鈴木 隆佳 修文大学, 医療科学部, 講師 (80757740)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 石綿繊維 / 含鉄小体 / 非被覆繊維 / 形状 |
研究開始時の研究の概要 |
石綿繊維を含む無機繊維に鉄タンパクが被覆してできる含鉄小体は、石綿曝露評価法として広く普及している。しかし、含鉄小体を形成しにくい石綿繊維があること、計測に用いる位相差顕微鏡では含鉄小体の芯の繊維が特定できないことなど、いくつかの問題点がある。 含鉄小体には様々な形状が確認されるが、それら形状と芯となっている繊維の種類との関係を検討した研究は非常に少ない。そのため本研究では、これらの関係性について解析を行い、含鉄小体測定による石綿繊維の種類推定の可能性や無機繊維曝露評価における含鉄小体計測のさらなる有用性について検討を行う。
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研究実績の概要 |
石綿関連疾患を証明する目的で計測されている含鉄小体は、現時点ではその濃度のみが曝露評価として用いられている。また、含鉄小体計数時に観察される鉄タンパクにコーティングされていない裸の繊維(非被覆繊維)については、その濃度の有用性は検討されていない。本研究では、含鉄小体の形状と繊維の種類との関係性及び非被覆繊維濃度が無機繊維の曝露指標となりうる可能性について検討することを目的としている。 令和4年度は、前年度に引き続き分析対象となる肺試料の選定を行うとともに、肺試料の含鉄小体及び非被覆繊維の計数を開始した。また、中皮腫症例の肺試料と非石綿関連疾患の肺試料の計数結果をもとに、肺内無機繊維濃度との関係について解析を進めた。その結果、含鉄小体濃度は一部の症例で定量下限値未満が確認されたが、非被覆繊維はいずれの症例でも定量下限値を超える濃度で確認された。中皮腫群と非石綿関連疾患群を比較した場合、含鉄小体濃度だけでなく、非被覆繊維濃度、および石綿繊維を含む無機繊維でも有意な差を認めた。含鉄小体濃度と非被覆繊維濃度との相関性を検討した結果、含鉄小体濃度が検出下限値付近では相関性が得られなかったものの、含鉄小体濃度が約100本/g乾燥肺より高濃度では有意な相関性が得られた。含鉄小体濃度と各種無機繊維濃度との相関性を、非被覆繊維濃度と各種無機繊維濃度との相関性と比較した結果、石綿曝露量が多い症例では、含鉄小体濃度の方が無機繊維濃度とより強い相関性を示した。しかし、含鉄小体が未検出だった症例について非被覆繊維濃度と無機繊維濃度との相関性を検討した結果、各種無機繊維濃度と有意な相関性が確認された。以上の結果から、非被覆繊維濃度は低濃度曝露の肺内無機繊維濃度を反映する可能性が示唆され、曝露評価としての有用性が期待できると考えられた。この結果は2022年度日本産業衛生学会東海地方会学会で報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和3年度の新型コロナウイルス感染症の感染拡大と蔓延によりリモートワークなどで研究が進めらず遅延が生じていた。令和4年度は新型コロナウイルスの影響は大幅に緩和されたが、令和3年度の遅れにより、全体的に当初の研究計画通りには進んでおらず、研究の遅延は継続している。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度は、選定した肺試料の含鉄小体及び非被覆繊維濃度の計測を進めることから取り掛かる。計測時に含鉄小体を形状ごとに分類して計数するとともに長さも合わせて計測していく。 計測した結果をもとに、含鉄小体の形状別濃度と石綿繊維との相関性を分析するとともに、含鉄小体の長さと石綿繊維の長さを比較検討し、含鉄小体の形状や長さによる石綿繊維の種類や濃度の推定の可能性を検討する。 また、非被覆繊維についても含鉄小体と同様に、その濃度が石綿曝露指標となりうるか検討するとともに、非被覆繊維の長さ別濃度が石綿繊維の種類や濃度の推定に有用かを合わせて解析する。得られた結果をまとめ、学会発表などで報告することを目標として研究を進める。
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