研究課題/領域番号 |
21K17306
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分58030:衛生学および公衆衛生学分野関連:実験系を含まない
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
岡見 雪子 滋賀医科大学, 医学部, 特任助教 (60591401)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 栄養疫学 / 国際共同研究 / リピドーム / 脂質代謝 / メタボローム / 疫学 / 食事 |
研究開始時の研究の概要 |
疫学調査より、わが国の脂質及び動物性食品の摂取量増加、脂質代謝異常者や肥満者の増加が問題となっているが、それらの関連性や機序は不明である。また、脂質摂取量や脂質代謝異常のバイオマーカーとなる血中リピドームの存在については謎である。本研究では、日本人の脂質摂取、血清脂質の変化や肥満の要因に迫る血中リピドームの解明を目的とする。日本人と日系米人計1,412人の血液検体を用いて、核磁気共鳴分光法及び超高速液体クロマトグラフ質量分析計による計400種以上の血清リピドーム測定・同定を行い、各脂質高摂取群、脂質代謝異常者、肥満者において有意性のある血中リピドーム群とその代謝経路を探索する。
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研究実績の概要 |
本研究は、平成29年度科研費基盤(A)「血液および尿のメタボローム解析と食習慣と血圧との相互関係に関する疫学研究(研究代表者 上島 弘嗣)」の付随課題である。INTERMAP研究では4か国17集団、40-59歳男女4,680人に、4日間の24時間思い出し法による栄養調査、2日間の24時間蓄尿、8回の血圧測定、質問紙調査等を実施した(Stamler J, et al. J Hum Hypertens 2003.)。加えて、日本とハワイ在住日系米人の5集団(1,412人)では血液が保存されている(INTERLIPID研究)。これを用いて血液中のメタボローム・リピドーム解析を行い、尿中のメタボローム、栄養調査等と合わせ、食・生活習慣や栄養素摂取量を反映するメタボローム・リピドームを探索する。 University of Hawaiiで冷凍保存された計1412人の血清検体を英国Imperial College Londonへ空輸し、The National Phenome Centreにて代謝物測定を実施した。約1400血清検体について、核磁気共鳴分光法(NMR)による測定を終え、血清中の低分子化合物(アミノ酸等)25種およびリピドーム関連指標112種が定量された。また、2020年末からImperial College Londonにて超高速液体クロマトグラフ質量分析計(LC-MS)を用いた質量分析が実施された。COVID-19の影響によりロンドンでの測定および同定作業に遅れが生じたが、2021年4月に同定された追加の50代謝産物を得た。INTERMAP Studyデータベースとメタボローム・リピドームデータを突合した。2021年は、日本人と日系米人の血清代謝物の比較検討および魚関連代謝物とメタボリックシンドロームとの関連について国際学会発表を行い、2022年度には論文発表した。今後さらにこのデータを活用した分析に進む。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
University of HawaiiからImperial College Londonへの空輸は当初予定より遅れた。到着後はImperial College LondonでのNMR分析は予定通り順調に進んだ。血清中の低分子化合物(アミノ酸等)25種およびリピドーム関連指標112種が定量された。しかし、COVID-19の影響により、引き続きImperial CollegeLondonにて実施される予定であったLC-MS測定の実施に遅れが生じた。データは納品されたが、代謝物同定作業が未実施であった。その後追加の同定作業を行われたが、COVID-19渦での先方での人事異動および予算上の都合により50種のみの同定となったことが想定外であった。これらの同定済み代謝産物とINTERMAP/INTERLIPIDデータベースとの突合作業およびデータクリーニング作業を実施した。2021年は国際会議で、日本人と日系米人の血清代謝物の比較検討および魚関連代謝物とメタボリックシンドロームとの関連について学会発表を行った。2022年度にはそれの論文化を行い、当初の遅れを取り戻しつつある段階である。
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今後の研究の推進方策 |
上記の課題以外の課題を新たに設定して学会・論文発表していくことが今後の課題である。 現状、NMR測定データを中心としてまとめているため、新たにLC-MSにより同定された代謝物も加味した新たな解析を考える。次年度は特に脂質摂取および脂質代謝異常、肥満に関連するリピドームに焦点を当てて解析を行う。また、INTERMAP/INTERLIPIDには非常に精度の高い栄養素データ、24時間蓄尿データ、血圧測定データなどがあるため、それらを活用した新たな課題も検討していく。
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