研究課題/領域番号 |
21K17319
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分58030:衛生学および公衆衛生学分野関連:実験系を含まない
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研究機関 | 国立研究開発法人国立がん研究センター |
研究代表者 |
齋藤 順子 国立研究開発法人国立がん研究センター, がん対策研究所, 研究員 (30782354)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 職域 / 実装研究 / 喫煙対策 / 実装科学 |
研究開始時の研究の概要 |
中小事業所は禁煙介入の実施や効果の程度にばらつきがある。多層的禁煙介入は職場の喫煙規範を変えることで、個人の禁煙を促進させている可能性があるが、その機序は十分に検討されていない。そこで、中小事業所をクラスターとする多層的禁煙介入研究の参加者約560名を対象に混合研究法を用いて3つの観察研究を行い、中小事業所における多層的禁煙介入の禁煙成功への効果の機序を解明する。①禁煙介入効果における職場の喫煙規範の媒介効果を明らかにする。②媒介効果がより大きい個人および組織特性を明らかにする。③質的インタビュー調査で禁煙行動に影響を与える多層的要因を明らかにする。
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研究実績の概要 |
職場における禁煙支援介入は個人、組織、環境と多層的にアプローチできる強みがある。多層的禁煙介入は職場の喫煙規範を変えることで、個人の禁煙を促進させている可能性があるが、その機序は十分に検討されていない。そこで、本研究は中小事業所における多層的禁煙介入の禁煙成功への効果の機序を解明することを目的としている。 本研究では中小事業所をクラスターとする多層的禁煙介入研究の参加者を対象に、3時点の喫煙規範を測定する予定であるが、多層的禁煙介入研究は現在も実施中である(3時点目の喫煙規範のデータ収集は2023年8月完了予定。パイロット研究後のフィードバックより、喫煙規範の変化は、3か月後の評価では短すぎて正しく評価されないことが示唆されたため、測定間隔を3か月ごとの3時点から6か月ごとの3時点に変更)。 2022年度の研究実績は下記①-③の3点である。 ①職場の喫煙対策を含む健康増進介入研究の促進阻害要因を国際的な文献を対象に包括的にレビューし、社内の規範や風土も影響要因として抽出された。レビュー結果は現在分析中である。②介入前と介入終了後(6か月時点)の2時点での喫煙規範の変化を介入群と対照群で予備的に確認した。予備的な検討の結果では職場全体の規範および上司の規範ともに、両群に差は認められなかった。今後は他拠点などの本社との距離が遠い拠点を除いた感度分析や、ベースラインの喫煙状況や業種別の層別分析などを検討する。③多層的禁煙介入により職場の喫煙規範が改善することで禁煙割合が高まるという共分散構造分析(SEM: Structural Equation Modeling)を用いた3時点の分析計画について計画書を作成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究はクラスターランダム化比較試験(UMIN-CTR; ID: UMIN000044526)に参加している事業所を対象とした附随研究である。もともとは、2022年度内に全事業所の12か月後調査のデータ収集が終了予定であったが、チャンピックスの出荷停止に伴うメインとなる研究中断期間の影響もあり、2022年度内にはデータ収集が完了しなかった。そのため、多層的禁煙介入研究の3時点データ(ベースライン、6か月後、12か月後)を使用した分析を開始することができず、2時点での予備的調査および共分散構造分析(SEM: Structural Equation Modeling)を用いた3時点の分析計画作成にとどまったため。
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今後の研究の推進方策 |
2022-2023年度前半は、混合研究法を用いて以下の3つの研究を行い、2023年度後半は、3つの研究の知見を混合研究法のアプローチにて統合し論文化する。さらに、これら3つの研究の予備的調査として行ったスコーピングレビューの結果について論文化を行う。 【研究1】禁煙支援介入と職場の喫煙規範および禁煙アウトカムとの関連(量的研究)として多層的禁煙支援介入研究の介入事業所の全従業員を対象とし、禁煙介入および喫煙規範を職場レベル、禁煙成功/関心度を個人レベルとしたマルチレベル共分散構造分析を行い、職場の喫煙規範の禁煙に対する職場固有の効果、および介入と禁煙成功/関心度の関連における媒介効果を検証する。 【研究2】媒介効果がより大きい個人および組織特性(量的研究)として、介入後調査データを用いて、イノベーション拡散モデルに基づき、6か月の介入期間中の禁煙施行(24時間以上続く禁煙)の開始時期を6グループ(革新者、初期採用者、前期追随者、後期追随者、遅滞者、未施行者)に分ける。そして、群別に【研究1】で行ったマルチレベル共分散構造分析にて媒介効果を検証し、より媒介効果の高い個人および組織特性を明らかにする。 【研究3】禁煙支援介入が喫煙規範を介して禁煙成功に至るプロセスの解明(質的研究)として、研究1,2の結果を踏まえ介入期間中の喫煙行動に影響を与えた多層的な要因について、実装の多層的決定要因の枠組であるTheoreticalDomainFramework(TDF)の項目に基づき半構造化インタビューを行い、内容分析にて要因を特定する。
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