研究課題/領域番号 |
21K17321
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分58030:衛生学および公衆衛生学分野関連:実験系を含まない
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研究機関 | 国立研究開発法人国立国際医療研究センター |
研究代表者 |
浅井 雄介 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, 国際感染症センター, 研究員 (70779991)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 理論疫学 / 感染症 / 数理モデル |
研究開始時の研究の概要 |
感染症の診断には,世界中の感染症の疫学や臨床症状,的確な診断方法の把握はもちろん,感染症の流行には季節性があること,また食事等の暴露源や病原体との組み合わせ,そして各感染症固有の潜伏期間についての知見も不可欠である.そのため,輸入感染症は感染症の中でも特に専門性の高い領域であり,輸入感染症を専門とする医師の数は極めて限られているのが国内の現状である. 本研究では,臨床現場で得られる情報と,海外の感染症流行状況および渡航期間,潜伏期間情報を一つのモデルの形で統合し,非専門家であっても適切に輸入感染症を診断するシステムを構築する.
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研究実績の概要 |
海外への渡航の機会および全世界からの訪日旅行客を受け入れる機会が増加している.人の移動の増加に伴い,ますます多くの新興再興感染症が日本に持ち込まれ,感染症輸入例に端を発したアウトブレイクが毎年見られている.輸入感染症の国内での拡散を避けるためには,早期に感染症を検出することが必須であるが,国内の感染症専門医は少なく,さらに輸入感染症に精通した医師はいまだ限られている.臨床の現場で得られた知見の共有化はもちろん,渡航者一人一人の感染症感染リスクを理解した行動は不可欠である. 本研究では,各国の感染症流行状況から将来の流行状況を予測,渡航者が渡航先で流行する感染症に感染するリスクの定量化を行う.渡航先・渡航期間情報,潜伏期間から感染・発症確率を算出し,輸入感染症レジストリの症例データと統合,機械学習による感染症診断モデルを構築し医療現場の診断をサポートするシステムの開発を目的としている. 三年度は,J-RIDAのデータを用いて渡航先の感染者数と潜伏期間の確率分布をもとに,潜伏期間である確率を定量化した.定量化した確率と来院時の症状を説明変数とし,インフルエンザ陽性を目的変数としたロジスティック回帰分析を行ったところ,発熱や咳といった典型的な症状だけでなく,潜伏期間である確率も有意に寄与するということが明らかとなった.ロジスティック回帰は有用であるが,説明変数の個数に制約などもあり,症例数が少ない場合は必ずしも適した手法とは言えない.そのため,Random forestやXGBoostといった機械学習法による推定も行い,特徴量の重要度の検証を行ったが,同様の結果が得られた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
渡航国での感染者数とそこでの感染確率の定量化に時間がかかったため,診断モデルの構築とそのテストまでしか進められなかった.またCOVID-19の流行により,いくつかの国で2020年以降のインフルエンザ感染者数のデータの取得に困難が生じた.これにより,機械学習でのトレーニングデータとテストデータの分け方等,文献調査や探索的な解析に多くの時間を費やした.
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今後の研究の推進方策 |
ロジスティック回帰や機械学習モデルで特徴量を定量化した結果,想定していた特徴量を用いることで高い精度で感染の診断ができることがわかった.モデルの構築については2019年までのデータを用いたが,Validationを見るため,今年度は2020年以降のデータを用いた精度の調査・確認を行う予定である.また,Support Vector MachineやNeural Network,Random forestといった異なる機械学習法による推定も行い,より精度の高い推定を目指す. さらに,各国のインフルエンザ感染者数に焦点をあて,感染者数と感染リスクの可視化を進める.
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