研究課題/領域番号 |
21K17324
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分58040:法医学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
川合 千裕 京都大学, 医学研究科, 助教 (40894754)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 法医病理学 / 頭部外傷 / 法医病理 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、頭部外傷に続発する多臓器障害への好中球細胞外トラップの関与を解明することを目的とする。頭部外傷の予後規定因子の一つに肺など遠隔臓器に続発する多臓器障害がある。生体防御機構である好中球細胞外トラップ(以下 NETs)は頭部外傷の神経予後に関与し、外傷の重症度と血中発現量が相関する。一方で、NETsは敗血症や腫瘍性病変などで過剰に発現し、多臓器障害を引き起こす。しかし、これまでに頭部外傷に続発する多臓器障害の進展にこのNETsが関与しているかは明らかにされていない。本研究ではモデルマウスと分子病態学的な手法を用いてこの病態関連を解明する。
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研究成果の概要 |
頭部外傷から末梢の多臓器障害が波及するメカニズムは未だ詳細は明らかでない。本研究では、モデルマウスを用いて、まず重症の外傷性脳損傷後に諸臓器に生じる変化を解析し、次にNETsやHMGB1などのDAMPsに着目してこれらの役割を調査した。その結果、脳損傷後の急性期には末梢臓器にも一過性に炎症が波及するが、亜急性期には神経調節機構の破綻が臓器障害に寄与した。また、脳損傷部ではNETsの形成が伺われたが、全身への影響は見出せなかった。一方で、HMGB1は中枢と末梢で相反する機能を有し、脳損傷部で炎症を増悪させるが、末梢にも波及し、諸臓器ではこの急性期炎症に対して抑制性に働いていることが示された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
近年、HMGB1は頭部外傷に対する新たな治療標的として着目されている。しかしながら、本研究により外傷性脳損傷において、HMGB1は相反する機能を有していることが示唆された。新たな治療法の確立には、損傷局所に留まらず、全身の詳細な評価が必要であることを再認識させる。また、HMGB1は未だ機序が不明確な脳損傷誘導性末梢免疫抑制機構に寄与している可能性があり、今後はマクロファージを起点とした外傷時の末梢免疫制御機構を解明し、末梢臓器への影響から見た新たな予防・治療法の確立に貢献したい。
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