研究課題/領域番号 |
21K17327
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分58040:法医学関連
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研究機関 | 佐賀大学 (2022-2023) 大阪市立大学 (2021) |
研究代表者 |
池田 知哉 佐賀大学, 医学部, 教授 (10620883)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | コルチゾール / 凍死 / ACTH / 胃粘膜病変 / 生化学検査 |
研究開始時の研究の概要 |
寒冷暴露(凍死)は特徴的所見に乏しく判定が困難な症例も多い.凍死を示唆する血液検査所見としてケトン体の上昇が報告されているが,低栄養でもケトン体は上昇し,低栄養と寒冷暴露の鑑別に適さず,新しい検査法が求められている.これまで我々は,寒冷暴露時にACTH(adrenocorticotropic hormone)の分泌細胞が出現することを明らかにした.この所見から,副腎皮質におけるコルチゾールが変化することが予測される.本研究では,「寒冷暴露に伴うコルチゾールの病態生理学的意義」を調べ,コルチゾールの動態が寒冷暴露の診断マーカとなり得るか明らかにし,法医学上の凍死診断の一助とすることを目的とした.
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研究成果の概要 |
寒冷暴露(凍死)は特徴的所見に乏しく判定が困難な症例も多い.本研究目的は,「寒冷暴露に伴うコルチゾールの病態生理学的意義」を調べ,コルチゾールの動態が寒冷暴露の診断マーカとなり得るか明らかにし,法医学上の凍死診断の一助とすることである. 血中コルチゾールを測定し各死因群を比較すると,凍死群では明らかにコルチゾール高値の結果が得られたことからコルチゾールの測定は凍死診断において有用であることを明らかにした.また,凍死時にコルチゾールが上昇する生理学的機序の一部について明らかにするとともに胃粘膜病変にコルチゾールが関与している可能性について示した.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究において,寒冷暴露に伴うストレス反応と,他のストレス要因に対する反応時のコルチゾールを定量的に比較評価することで,コルチゾールの上昇が特異的所見のない凍死の新たなかつ客観的な診断基準の1つになることを明らかにできたことで,社会的意義としての死因鑑定精度の向上が期待できる.また,コルチゾール上昇の生理学的機序を検討し,胃粘膜出血にコルチゾールが関与している可能性を示唆することができたことで,法医診断的意義のみならず,臨床医学分野における低体温に伴う胃粘膜異常や免疫系異常の病態解明にも役立つものと考える.
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