研究課題/領域番号 |
21K17337
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分58050:基礎看護学関連
|
研究機関 | 東京医療保健大学 (2022-2023) 和洋女子大学 (2021) |
研究代表者 |
土井 一浩 東京医療保健大学, 看護学部, 教授 (70381308)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2024年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2023年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
|
キーワード | 近赤外線 / 皮静脈 / 2方向カメラ / 深さ / 赤外線 / 2方向カメラ / 採血 / 皮静脈位置特定 / 看護工学 |
研究開始時の研究の概要 |
静脈注射・採血時等において、静脈血管の特定の判断、穿刺は実施者個人の経験と技術に多くを頼っている。この静脈血管の特定判断の根拠となりうる位置や太さを数値的に表す論文はこれまでにない。自身の研究では、近赤外光と画像処理を用い、静脈血管の『太さ』・『走行(傾き)』等を計測し、静脈血管選択の補助方法を開発してきた。しかし、皮膚からの深さについての測定はできていなかった。本研究では、近赤外線より得られた画像の256階調の濃度勾配データを基に『皮膚上から静脈血管までの深さ』と『静脈血管の深さ方向の径』を測定する過程を明らかにし、静脈注射・採血に適した特定方法の根拠を明らかにすることを目的としている。
|
研究実績の概要 |
これまで、皮静脈の位置や太さを定量的に表す論文は他にはなかったが、自身の先行研究で、穿刺する皮静脈を選択する際に必要な皮静脈の『鮮明な可視化』、そして静脈血管選択のその定量的な根拠となる、『静脈の太さ』、『蛇行していない程度・角度』を近赤外線と画像処理によって明らかにしてきた。 本研究は、静脈血管の確認が困難な患者(肥満や小児の場合)であっても、個人の経験や技術によるところを小さくし、皮静脈の『位置』、『太さ』、そして『皮膚からの深さ』を数値的な根拠をもって同等で、しかも正確な看護技術の提供を可能にすることを目的としている。 一昨年は、静脈血管の還元ヘモグロビンの吸収が大きい640~780nm波長のリニア可変バンドパスフィルターを通過した画像を赤外線カメラで捉え、その画像を画像検証ツールMatrox inspectorにて256階調の画像を作成。捉えた『リニア可変バンドパスフィルターの波長』と『256階調の濃度勾配のデータを処理した画像』から、『皮膚から静脈までの距離』と『静脈血管の深さ方向の径』の測定についても256諧調の変化から推定する可能性を示すことができた。 昨年度から1方向から捉えた画像では鮮明な画像が得られにくい場合が多いことが分かった。その為、皮膚透過性のある同型のカメラを2方向から撮影し、立体的に捉えることで皮膚から皮静脈までの距離と皮静脈の深さの距離の測定を新たに試験し始めた。進めていく中で2方向の角度・波長は部位により鮮明さに差があることが分かった。 今年度は、部位に対する2方向の角度とそれぞれに最適な波長の研究を進めていくこと、また『256階調の濃度勾配のデータを処理した画像処理』も併せて『皮膚から静脈までの距離』『静脈血管の深さ方向の径』について定量化を可能にする研究を進めていく。そして、超音波画像診断装置によってその正確性について検証していく。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
昨年度までの方法として、静脈血管の還元ヘモグロビンの吸収が大きい640~780nm波長のリニア可変バンドパスフィルターを通過した画像を赤外線カメラで捉え、その画像を画像検証ツールMatrox inspectorにて256階調の画像を作成。捉えた『リニア可変バンドパスフィルターの波長』と『256階調の濃度勾配のデータを処理した画像』から、皮静脈の横断面の濃淡を256諧調で数値化できることが確かめられた。 また、『皮膚から静脈までの距離』と『静脈血管の深さ方向の径(穿刺した針が静脈を貫通してしまう危険性のある距離)』の測定についても256諧調の変化から可能性を示すことができた。 昨年度から1方向から捉えた画像では鮮明な画像が得られにくい場合が多いことが分かった。その為、皮膚透過性のある同型のカメラを2方向から撮影し、立体的に捉えることで皮膚から皮静脈までの距離と皮静脈の深さの距離の測定を新たに試験し始めた。進めていく中で2方向の角度・波長は部位により鮮明さに差があることが分かった。最善の方向は現在定まっておらず、その検討に時間を要している。しかし、超音波画像診断装置の導入が決まりそうである為、過去のMRIデータとの比較に頼らない検討が可能となる。この方法で再検討を行う予定である。
|
今後の研究の推進方策 |
今年度は、皮膚透過性のある同型のカメラを2方向から撮影し、立体的に捉えることで皮膚から皮静脈までの距離と皮静脈の深さの距離の測定を新たに試験し始めている。しかし、2方向の角度・波長は部位により鮮明さに差が大きいことが分かった為、皮膚の色、部位毎のデータを集めて系統立てる研究に進めていく。 2方向からの赤外線カメラによる皮膚から皮静脈までの距離の測定はこれまで行われていないが、ヒトが両目で見るような立体的な測定の可能性がある。新たに導入予定である超音波画像診断装置により、正確なデータ収集を進めていく。
|