研究課題/領域番号 |
21K17357
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分58060:臨床看護学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
近田 藍 京都大学, 医学研究科, 助教 (10883647)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | アドバンス・ケア・プランニング / 原発性悪性脳腫瘍 / 意思決定支援 / 多職種連携 / 緩和ケア / がん |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、原発性悪性脳腫瘍患者の価値観や意思を尊重した医療・ケアの実現のために、看護師主導の多職種連携型アドバンス・ケア・プランニング(Advance Care Planning)支援モデルを開発し、患者・家族と医療者の双方の観点から多角的にモデルの実現可能性、容認可能性、有効性を検討することで、患者・家族にとって安全で満足感があり、かつ臨床現場で実装可能な話し合いのプロセスであるか評価する。
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研究実績の概要 |
本研究は、悪性神経膠腫患者におけるアドバンス・ケア・プランニング(ACP)の実施に焦点を当てたもので、脳腫瘍が患者の認知機能と人格に及ぼす影響及び急速な身体機能の低下を考慮に入れ、多職種連携型のACP支援モデルの開発を目指している。 2021年度に実施した21名の医療者を対象にした面接調査におけるACPの実践に関するデータ分析を行った。このデータから、COVID-19パンデミックがACP実施に及ぼす影響に関する予備的分析を行い、その成果は2024年度のヨーロッパ緩和医療学会で発表する予定である。この予備的分析では、COVID-19が日本のACPに与えた影響が二面的であることが明らかにされた。医療者は対面診療の制限による課題に直面しながらも、平時よりもACPの実践を意識し、より患者のニーズに応じたケアを提供していた。パンデミック収束後もこれらの進歩を維持し拡大することが、あらゆる状況において個別化されたケアを確保するために重要であることが明らかになった。 さらに、脳腫瘍患者と介護者のニーズに関する全国調査を実施し、ACPに関する知識、経験、意向のデータを解析した。多くの患者が診断や予後に関する詳細な説明と医療決定への参加を希望していることが確認された。また、患者の大部分がACPに前向きであることが示されたが、一部の患者と介護者にはACPに関連する心的負担があることが明らかになった。ACPの対話による患者の意向と価値観の把握だけでなく、同時に心的負担の強い患者・家族のwell-beingの維持向上を図るACPプログラムの方策の開発が必要であることが示唆された。この研究成果は第41回日本脳腫瘍学会で発表し、今後英文海外誌への投稿を予定している。 今後は上記の成果を踏まえて開発したプログラムの効果を検証する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
主な遅延の理由は、質的研究のデータが膨大で、データの厳密な分析を確保するため、共著者と独立して分析作業を行っているためである。この分析プロセスは研究の信頼性を向上させるが、同時に多くの時間を要している。また、質的データ分析の遅れにより、研究成果の具体化やACP支援モデルの開発も当初の予定より遅れている。遅延の解消のために、追加のリソースを配分し、分析作業の効率化を図る措置を講じている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では遺族および医療専門職を対象とした質的研究の内容分析を継続しており、これまでの研究成果と新たなデータを統合する作業を進めている。特に、悪性脳腫瘍患者のACPに関する看護師主導の多職種連携型支援モデルの草案を精緻化し、実践的なガイドラインとしての論文化を目指している。 質的研究の分析の完了と論文の投稿を年内に予定しており、最終的なACP支援モデルの効果と適用性を検証するための介入試験も計画中である。これにより、臨床現場への実装を目指し、患者と家族に寄り添ったケアの提供を進める。
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