研究課題
若手研究
子育て世代の女性の乳がん罹患は各家族員に影響を及ぼし家族内の役割や生活の変化を余儀なくするため、家族のもつセルフケア機能を高めることが重要とされる。しかし、実際に家族全体としてどのように乳がんに対処してきたのかを明らかにした研究はない。また、家族員同士は相互に作用しあう関係性であるが、三者間や三世代間における心理的変化の影響は未だ検討されていない。本研究では、家族システムの視点を踏まえ、乳がんによる家族の経験と家族員間の相互作用を調査する。乳がん患者家族の経験と相互作用を明らかにすることで、個々の家族員ではなく家族全体の健康回復・維持を目指す、効果的な家族看護の視点や方法を提供できる。
2023年度も継続して、本研究の目的である、①乳がんに対する家族のセルフケア機能、および家族全体のPTG(心的外傷後成長)の経験を明らかにする、②乳がんによる患者、配偶者、子どもの心理的変化に関して、三者間の影響を明らかにする、を中心に研究を実施した。本研究が着目するPTGについて、より日本人に合い、負担を最小限にした上で測定できる信頼性と妥当性のある尺度の開発論文を作成し、英文雑誌にて公表した。母親の乳がん罹患にともなう子どものPTGについて、これまで詳細に明らかになっていなかった子どものPTGの実態、PTGに影響を与える家族要因(母親とのがんに関するコミュニケーション)に着目した論文を作成し、英文雑誌にて公表した。乳がんによる家族の影響の中でも子どもへの影響を検討するために、質的データを用いて、母親の乳がん罹患にともなう子どもの困難について分析した論文を作成し、和雑誌にて公表した。子育て世代の女性がん患者とその家族(配偶者・子ども)への質問紙調査の結果について、分析を行ったため、今年度中に学会や雑誌での発表を予定している。
3: やや遅れている
新型コロナウイルスの流行に伴い、がん患者やその家族の心理的健康に大きな影響があると考え、研究計画の再検討を行った。やや遅れているものの、研究成果の公表は順調に行えており、質問紙調査から分析までを実施できているため、遅れは最小限だと判断できる。
調査結果や分析結果を専門誌での論文掲載や学会での発表を行う予定である。また、学会へ参加することで、情報収集を行う予定である。
すべて 2023 2021 その他
すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 3件)
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