研究課題/領域番号 |
21K17394
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分58070:生涯発達看護学関連
|
研究機関 | 奈良学園大学 |
研究代表者 |
中田 修 奈良学園大学, 保健医療学部, 助教 (20880991)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
|
キーワード | 馬介在療法 / 自閉スペクトラム症 |
研究開始時の研究の概要 |
脳機能に障害がある者に対する馬介在療法(以下Hippotherapy)の効果を定量的に確認されたものは少なく、特に自閉スペクトラム症(以下ASD)者に対してはその効果の可能性が示唆されているにもかかわらず定量的には確認されていない。本研究ではASD者に対するHippotherapyの生理学的および心理的効果を確認するために、30名のASD者を対象として機器による各種測定と心理検査をHippotherapyの前後及び経時的に実施する。ASD者に対するHippotherapyの有効性を確認しその要素を検討することで、ASD者の社会適応につながるような介入プロトコールの開発につなげる。
|
研究実績の概要 |
馬介在療法は専門家による指導の下で馬の動きを利用して機能的な成果を得ることを目的としており、身体や精神に障害のある人に対して一定の効果があることが徐々に明らかとなってきている。本研究では、自閉スペクトラム症児を対象に主観的な指標として「POMSⅡ日本語版」を用いてストレスのチェックを行うことに加えて、客観的な指標として「唾液αアミラーゼ活性によるストレスの評価」「指尖容積脈波法による自律神経機能の評価」を実施すること通して馬介在療法の効果を検証し、今後の介入プロトコルの作成の一助とすることを目的としている。過去10年のランダム化比較試験による研究結果を検討したところ、馬介在療法の効果ではバランスの改善に関して最も多く述べられていた。そのほか歩行機能や心肺機能の改善,QOLの向上も確認されていた。一方、自閉スペクトラム症児に対する馬介在療法の生理学的指標を用いた効果検証はほとんどなされていなかった。 我々の結果から現時点では、POMSⅡを用いた指標に関しては10名程のデータではあるが、下位尺度の怒り-敵意,活気-活力,およびTMD(総合的気分状態得点)で,対応のあるT検定を用いて有意な効果が認められている(p<0.05)。POMSⅡマニュアルによれば、TMD得点が高い場合「現在,情緒機能に関する問題を抱えている」とされる。従ってTMD得点が馬介在療法後に有意に低下しているということは、ASD児の情緒機能の改善に効果的であったことを示唆している.一方で「唾液αアミラーゼ活性によるストレスの評価」「指尖容積脈波法による自律神経機能の評価」では、現時点では改善の傾向はみられるものの有意な効果がみられているとはまでは言えない。今後対象者数を増やすことで、データの信頼性を向上させることを試みる予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
COVID19の感染状況は昨年春から落ち着きを取り戻したが、研究協力施設で飼育されていた馬介在療法用の馬が死亡したために研究が中断していた。ただし、今年の1月に新たな馬を購入し3月をめどに慣らし乗馬を行い、4月から順次馬介在療法を再開している。
|
今後の研究の推進方策 |
現在約12名でデータ収集が進行中あるいは終了している。研究協力施設の責任者と相談しながら、できるだけ多くの参加者を募る予定であり、得られたデータの解析も並行して行うこととしている。ただし研究期間の延長が必要ではないかと考えている。
|