研究課題/領域番号 |
21K17409
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分58080:高齢者看護学および地域看護学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
永田 優馬 大阪大学, 大学院医学系研究科, 特任研究員 (90832824)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 認知症 / 重度認知症 / QoL / BPSD / 生活 |
研究開始時の研究の概要 |
重度認知症者のQoLに影響する要因に関する知見は非常に少ない。主な原因はQoLの測定方法にあったため、申請者らがその点を克服した国外の評価尺度の日本語版を標準化した。しかし、その評価尺度では縦断的評価に適さない点と環境要因との関連が明らかでない点が課題であった。本研究では申請者らが標準化したQoL評価指標を発展した(1) 新たな尺度を開発ならびに (2) 関連する因子を同定し、(3)長期的変化を検討することで、ケア・リハビリテーション戦略の立案の一助となることを目的とする。それらを示すことで、重度認知症者に適した根拠に基づく治療方針の開発に大きく貢献できるものと期待される。
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研究実績の概要 |
本研究では,重症度特異的なQuality of Life (QoL) 評価尺度を用い, 関連する因子を同定しケア・リハビリテーション戦略の立案の一助となることを目的とする。重度認知症者のQoLにとってBPSDは重要な因子と指摘されているなか,重度認知症に関するBPSDを分類した報告はなく,どの症状群がQoLに関連しているのかは未だ明らかでない。本研究では重度認知症者のBPSDを統計的な手法を用いて分類し,どの症状群が重度認知症者のQoLに影響を及ぼしているのか検討した。Neuropsychiatry Inventory (NPI)の10項目を用いて重度認知症者のBPSDを評価し,探索的因子分析を行った。抽出には主因子法を用い,因子負荷量が絶対値で0.30以上の基準を設定し,バリマックス回転を行った。NPIの各因子を反映する項目の合計得点と,重度認知症者に特異的なQoL評価尺度であるQUALID合計得点との相関性をSpearmanを用いて分析した。加えて,重度認知症のQoLに重要と示唆されている他の因子である苦痛,環境因子ともNPIの各因子が関連するかどうかを分析した。対象者は105名であった。因子分析の結果,10項目のうち幻覚と多幸を除く8項目において,4つの因子が抽出された。因子1は脱抑制,易刺激性,興奮,異常行動から構成されるためアジテーションの因子と名付けた。因子2は不安,うつから構成されるためネガティブ情動の因子と名付けた。因子3と4はそれぞれ無関心と妄想それぞれの項目のみからなるため,無関心の因子と妄想の因子と名付けた。相関性の分析の結果,因子1と因子2はQUALIDと相関していた。因子3と因子4はQUALIDと相関していなかった。因子1と因子2は苦痛とも関連を認めた。因子3は環境との関連が確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年から流行しているCOVID-19の影響により、研究活動の自粛要請や、研究協力施設における外部者の立ち入り禁止および対面での調査の実施が制限されていることにより、臨床データを新たに取得することが困難となり、既存計画よりも遅れが生じている。しかし、過去に取得したデータを活用し分析を行うことで、重度認知症者のQoLに関わる要因の分析は一定の進捗を得ている。
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今後の研究の推進方策 |
COVID-19が影響し、当初予定していた計画に大幅な遅れが生じる可能性がある。そのため、既存のデータベースを活用しながら重度認知症のQoLに関わる要因の検討を実施、研究方法の再検討や、予定対象者数の見直し、分析手法の変更を検討し、こうした事態に対応しながら検討を行う予定である。
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