研究課題/領域番号 |
21K17437
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分58080:高齢者看護学および地域看護学関連
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
沖 由香里 神戸大学, 保健学研究科, 保健学研究員 (40837738)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | 訪問看護 / 訪問リハビリテーション / フレイル / 身体機能 / 高齢者 / 自主トレーニング / 在宅医療 |
研究開始時の研究の概要 |
訪問リハビリテーションはセラピストが直接指導を行うことで、要介護高齢者でも安全に運動を実施することが可能である。しかし、介入頻度が低いという課題があり、運動習慣のない要介護高齢者でも安全に行える自主トレーニングの手段の確立と効果検証が急務である。今回は、家庭用機器も広く普及している筋電気刺激 (Electrical muscular stimulation; EMS) に着目し、従来の訪問リハビリテーションと併用した場合の効果を検証する。この検証を通じて、訪問リハビリテーションと高齢者の運動機会の新たなあり方について模索する。
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研究実績の概要 |
訪問リハビリテーション (以下、訪問リハ) はセラピストが対面で直接指導することで、高齢者でも安全に運動することが可能である一方、介入頻度が低く、十分な運動効果を得られない場合がある。しかし、運動習慣のない要介護高齢者が非監視下で運動することは容易ではなく、当初本研究では自主トレーニングの代替方法として筋電気刺激に着目し、訪問リハと併用した場合の効果について検証することを目的とした。 2023年度は介入研究に先立ち、現状の訪問リハの効果を検証するため観察研究を実行した。自宅がサービス提供場所となる訪問リハは、資源・設備/環境・時間の制約が大きく、客観的評価が十分に行われず、効果検証が十分になされていない背景がある。そこでまずは、研究協力施設において、訪問リハを受ける利用者全員に対する定期的な身体機能評価を実施する体制を構築した。身体機能評価の項目には、自宅という狭小スペースで特別な機器を要さず安全に実施可能であること、高齢者の身体機能評価として臨床で広く普及しているツールであること、評価者・対象者ともに身体的・精神的負担が少なく短時間で測定できる内容であることを条件に、身長・体重・BMI・筋力MRCスケール・SPPB(Short Physical Performance Battery)・基本チェックリスト・EQ-5D-5Lを選定した。2023年5月から評価を開始し、現在までに4回実施し約150名の継続評価を行っている。また、並行して倫理委員会申請・承認を得て、関連学会への参加・発表を複数回行なった。さらに、関連施設の通所型デイサービスでも同様に定期評価の実施体制を構築し、上記項目に加え身体活動量の定期測定の実施を開始した。通所型デイサービスの定期評価についても研究計画を立案し、倫理委員会に申請予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2021年度途中から2022年度途中まで研究代表者の妊娠・出産に伴う研究活動の休止があり、長期的な介入を伴う研究の実施は困難となった。再開後もCOVID-19及びインフルエンザ等の感染症対策により、介入研究を行うための対象者リクルートを十分に進めることができない状況であった。また、研究協力施設が専門的な医療機関とは異なり、幅広い疾患・状態の対応にあたる訪問看護ステーションであることから、サービスの利用集団特性が流動的であり、リクルートに想定以上の期間を要している。そこで介入研究の足がかりとして観察研究を実施し、訪問看護ステーションで先駆的な取り組みである定期評価の実施体制を構築し、複数回関連学会での発表を行なった。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、研究協力施設の訪問看護ステーション及び通所型デイサービスでの定期評価を引き続き実施し、年単位での長期的な訪問リハ・通所リハの効果の検証を行なっていく。 観察研究を進める上で、病院等と異なる訪問看護ステーションならではの課題も浮き彫りになっている。訪問看護ステーションは、各利用者の地域のかかりつけ医から訪問看護指示書が発行されサービス提供を行う。訪問看護指示書には診断名や処方薬は記載されるものの、あくまでも1カ所の医師からの情報であり、かかりつけが複数科/複数病院ある場合にはすべての診療情報を把握することが難しい状況にある。重複障害を抱える高齢者の適切な健康管理・入院予防を行うためには、地域全体での情報共有が必要である。訪問看護ステーションの立場から学会等での情報発信を行い、近隣の医療機関との地域連携強化・共同研究の実施に向けた関係構築の取り組みを実施していく。 また保険診療の制限内での訪問リハビリテーションは利用頻度の制限により、運動効果を十分に得られない場合があることから、自主トレーニングや運動の継続支援の方法を引き続き模索し、観察研究と並行して介入研究の研究計画を再考する。
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