研究課題/領域番号 |
21K17480
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分59010:リハビリテーション科学関連
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研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
森 公彦 関西医科大学, リハビリテーション学部, 助教 (10890890)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 半側空間無視 / 主観的視覚性垂直 / 主観的垂直感覚 / 眼球運動 / 視線移動 / 姿勢障害 / 視空間認知 |
研究開始時の研究の概要 |
半側空間無視を伴う急性期脳卒中患者の姿勢障害の原因の一つに、垂直方向を知覚する機能(垂直性知覚)の障害がある。主観的視覚性垂直(SVV) は、この垂直方向を視覚的に判断する能力を計測する検査であり、半側空間無視患者のSVVはその偏倚と変動性の増大により特徴づけられる。しかし、患者の視空間認知過程や姿勢制御への影響は不明である。本研究では、SVV計測中の患者の視線パターンを解析し、視空間認知過程を特徴づける。次に、このSVV判断の視空間認知過程に対する視覚的手がかりが、半側空間無視患者の視線パターンに変化をもたらし、SVVを改善させ、姿勢障害とどのような関連があるかを明らかにする。
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研究成果の概要 |
急性期の脳卒中後半側空間無視を伴う患者において、垂直方向を視覚的に判断する主観的視覚性垂直(SVV)について解析した。垂直なフレームを視覚的手がかりとして提示したときに、半側空間無視患者に特徴的な無視側から開始する時のSVVの偏倚と判断の変動性の減少を明らかにした。 さらに、垂直を判断するための視線パターンのデータ解析では、半側空間無視患者において、無視側だけでなく非無視側でもターゲットの特定の部位に視線が留まる傾向があり、視線移動の量や頻度が少なく、半側空間無視特有の症状がSVVにおいても認められた。このような視線パターンの違いは、探索的眼球運動を司る脳領域の損傷の有無による特徴を示した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
半側空間無視患者における主観的視覚性垂直はこれまでにも多く報告されていたが、特に視線移動に特徴づけられる病態に対して、視線解析に基づく垂直判断の定量化はできていなかった。本研究では、主観的視覚性垂直における視線移動パターンを初めて明らかにし、その特徴は脳の損傷領域の機能障害に対しても支持できるものであった。さらに、半側空間無視により視空間性の知覚の障害があったとしても、視覚的手がかりが無視側からの偏倚と変動性を減少させる変調メカニズムは、臨床的に有用な視線誘導法を提案することを可能にし、半側空間無視患者の姿勢障害に対する新たなリハビリテーションに役立つ知見として社会的意義が高い。
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