研究課題/領域番号 |
21K17488
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分59010:リハビリテーション科学関連
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
吉住 結 東京医科歯科大学, 歯学部, 非常勤講師 (60771863)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | 口腔がん / 錠剤内服 |
研究開始時の研究の概要 |
口腔がん手術後の患者は術後嚥下障害を認め、食物や水分の経口摂取や錠剤の内服に困難をきたすことが多い。特に錠剤は他の食物と比べて嚥下しづらく健常者においても10-20%が錠剤の飲み込みづらさを感じるとされている。嚥下障害を有する患者では、健常者よりも錠剤を飲み込みづらくなり、錠剤内服に要する水分量の増加や服薬時の口腔内での処理時間の延長、嚥下回数の増加がみられる。口腔がん手術後の患者の錠剤内服時の嚥下動態についてはこれまであまり明らかにされてこなかったため、今回嚥下機能検査を利用してその検証を行い、服薬時の剤形選択や安全で確実な内服方法についての指針を作成することを目指している。
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研究実績の概要 |
錠剤は他の食物と比べて嚥下しづらく、健常者でも10-20%が錠剤の飲み込みづらさを感じるとされている。口腔がん患者の錠剤内服困難について検証するにあたり、まずは東京医科歯科大学摂食嚥下リハビリテーション外来(以下、当科)を受診した口腔がん以外の疾患の患者について、後ろ向きに調査を行った。 対象患者は70名で男性40名、女性30名、平均年齢74.9±11.5歳であった。原疾患としては、神経筋疾患22.8%、脳血管疾患21.4%、認知症10.0%、呼吸器疾患10.0%、消化器疾患10.0%、精神疾患5.7%、その他20.0%となっていた。嚥下機能検査画像所見を分析したところ、錠剤内服時に錠剤そのものを誤嚥した患者は存在しなかったが、錠剤を内服するための水分を誤嚥した患者は18.6%存在した。また、錠剤内服後に口腔内・喉頭蓋谷・梨状窩のいずれかに錠剤の残留を認めた患者は34.3%であった。 初診時の嚥下機能についてFOIS(Functional Oral Intake Scale)でみると、FOIS:7(常食摂取)の患者は60.0%であった。そのうち、錠剤内服後に口腔内・喉頭蓋谷・梨状窩のいずれかに錠剤の残留を認めた患者は28.6%であった。常食を問題なく摂取できる嚥下機能であっても、必ずしも錠剤が問題なく内服できるわけではないことが実証された。これらの結果の解析を行い、論文作成に着手し、投稿の準備を行っている。 上記の結果を踏まえ、口腔がん患者の錠剤の嚥下動態について、当科及び協力施設での嚥下機能検査のデータ収集及び分析に取り組んでいる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症の影響で、予定手術の延期や、嚥下機能検査の制限等があり、データ収集が予定通りに進められておらず、研究の進捗が遅れている。新型コロナウイルス感染症が5類感染症となり、また少しずつ研究を進められるようになりつつある。
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今後の研究の推進方策 |
口腔がん以外の疾患の患者に対する錠剤内服時の嚥下動態を検証できたことで、口腔がん患者の錠剤の嚥下動態を分析する際、比較検討できるデータを得ることができた。 2023年5月より新型コロナウイルス感染症が5類感染症となり、手術や嚥下機能検査の制限が緩和されてきているため、口腔がん患者についてのデータ収集及び分析を逐次進めていく。
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