研究課題/領域番号 |
21K17491
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分59010:リハビリテーション科学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
平賀 慎一郎 大阪大学, 大学院医学系研究科, 特任助教(常勤) (00632663)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
中途終了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | アストロサイト / GFAP / ACSA2 / 疼痛維持機構 / 脳卒中後疼痛 / 異所的神経活動 |
研究開始時の研究の概要 |
これまで申請者は、視床出血後の慢性疼痛の病態では感覚野の痛覚回路再編に伴い異所的神経活動が長期間持続することを見出した。異所的神経活動は慢性疼痛の維持機構において重要な因子であると考えられるが、視床出血後の「異所的神経活動」と「慢性疼痛」を繋ぐ機構は不明である。一方、脳神経活動を調整する細胞としてアストロサイトが知られており、 近年では脳領域特異的なアストロサイト亜集団が同定された。そこで本研究では、感覚野特異的アストロサイトに着目し、異所的神経活動の制御を介した疼痛維持機構の解明を目指す。これにより慢性疼痛の病態特異的アストロサイトの機能を標的とした新たな疼痛制御様式の開発が期待できる。
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研究実績の概要 |
脳卒中後疼痛の発症および維持における詳細な分子機構は、未だに不明である。治療効果が高く、副作用の少ない治療薬を開発するためには、脳卒中後疼痛の発症および維持する新たな分子メカニズムを明らかにする必要がある。本研究では、脳卒中後疼痛の病態を維持するアストロサイト依存的機構の解明を目的とし、これまで実験を進めた結果、3つの成果を得た。一つ目は、視床出血7日後の感覚野において、GFAP/ACSA2陽性アストロサイトが増加すること、二つ目は、感覚野第2-4層における成体アストロサイトマーカー遺伝子の発現が出血直後一過性に減少し、その後増加することを明らかにした。GFAPは発達期においても発現することから、視床出血直後ではアストロサイトが未成熟状態を再獲得している可能性が考えられる。そして、三つ目は、疼痛発症後(視床出血7日以降)において、アストロサイトの活性化に関わるシグナルの阻害により、疼痛を緩和することである。本結果は、我々が以前報告した「疼痛発症後にミクログリアを除去しても、疼痛緩和を効果を示さなかった」結果と異なり、アストロサイトが脳卒中後疼痛の病態を直接維持する可能性を示唆している。今後は、脳卒中後疼痛の病態における特定の感覚野アストロサイトを同定し、それらアストロサイトを制御する分子機構を解析することで、脳卒中後疼痛の新規創薬ターゲットとなる画期的疼痛治療薬の開発につながることが期待される。
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