研究課題/領域番号 |
21K17516
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分59010:リハビリテーション科学関連
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
森本 順子 和歌山県立医科大学, 医学部, 博士研究員 (80770601)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 心臓リハビリテーション / 心不全 / エネルギー代謝 / ビタミンB1 / 液性因子 / 多面的効果 / 高齢心不全 / 予後 |
研究開始時の研究の概要 |
近年の高齢化社会において、心不全パンデミックは大きな社会問題である。心臓リハビリテーション(心リハ)は、数少ない有効施策であるが、その効果の機序の詳細は不明である。今回、心リハによる多面的心不全改善効果の機序として、善玉液性因子の分泌促進、悪玉液性因子減少であると仮説を立てた。心リハ継続群および心リハ離脱群の2群において、心リハ開始前後での各液性因子の測定を行い、心リハが各液性因子分泌に及ぼす効果、および予後との関係を検討する。本研究成果から、機序に基づく新しい心リハプログラムの開発や、各液性因子測定による心リハの効果判定利用などから、心不全予後の改善につながり、国民の健康福祉に貢献する。
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研究実績の概要 |
近年の高齢化社会において、心不全パンデミックは大きな社会問題となっている。心臓リハビリテーション(心リハ)は、数少ない有効施策であるが、その効果の機序の詳細は不明である。近年、運動は、心不全に対する”善玉液性因子(食欲亢進、長寿、幸せホルモン)”を賦活化させる効果が示唆されている。当初、心リハによる心不全改善効果の機序として、善玉液性因子の分泌促進であると仮説を立てた。本仮説を証明するため、慢性心不全に対する心リハ開始後3ヶ月間継続可能であった心リハ継続群および3ヶ月間継続困難であった心リハ離脱群の2群において、心リハ開始前および3ヶ月後に各液性因子の測定を行い、心リハが各液性因子分泌に及ぼす効果、および予後との関係を検討することとした。しかし、2021~2022年度は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が研究遂行に悪影響を及ぼした。2023年度になり、積極的な心リハを行う中で、「離床がスムーズに進む症例とそうでない症例の違いは何か?」について機序を考察し、エネルギー代謝におけるビタミンB1(VB1)の働きに着目した。当院に入院した高齢心不全患者では、入院時血清VB1濃度が28ng/mL以上の患者を正常群、それ以下の患者を低値群とし、10m歩行が可能になるまでの日数・入院期間を2群間で、後ろ向きに比較した結果、それぞれの中央値は、低値群33日・53日に対し、正常群4.5日・21日と、VB1低値群が有意に長いという結果であった。そのため、VB1欠乏を有する慢性心不全患者へのVB1補充療法は心不全の予後を改善するのではないかと仮説を立て、当院でVB1低値慢性心不全患者に対するVB1長期補充療法の有効性について検討した。結果、VB1低値に対するVB1長期補充群は、VB1短期補充群やVB1正常非補充群に比較して、有意に心不全予後を改善する可能性がある事を突き止めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2021年度COVID-19に対する対応、対策に追われ、また、外来心臓リハビリテーションにおける感染防止・安全性の観点から、当初の研究計画に挙げた症例数の蓄積は行えなかったことが影響し、2022年度も症例のリクルート、登録を中心に行った。COVID-19の影響で進捗としてはやや遅れたが、2023年度から積極的に心リハを行えるようになり、液性因子としてビタミンB1を発見した。2023年~2024年度英語論文発表に至り、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
今後はこれまでに蓄積されたビタミンB1の単施設後向き研究成果を検証するため、多施設共同ランダム化比較試験を進める予定である。
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