研究課題/領域番号 |
21K17549
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分59020:スポーツ科学関連
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研究機関 | 駿河台大学 |
研究代表者 |
田中 輝海 駿河台大学, スポーツ科学部, 講師 (90804196)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | バーンアウト / スポーツ選手 / コーピング / ソーシャルサポート / パス解析 / 共分散構造分析 / スポーツ心理学 |
研究開始時の研究の概要 |
スポーツ選手が発症するバーンアウトは,その症状および発症に至ったプロセスの2方面から理解される. しかし,従来のバーンアウトの予防法および対処法を検討した研究では,症状の緩和効果のみに焦点が当てられている. 本研究では,バーンアウトの発症プロセスに焦点を当てて,これまでに症状の緩和効果が認められている,コーピング(ストレス対処行動)およびソーシャルサポート(他者からの心理的・物質的な援助)が発症プロセスに及ぼす影響を検討し,新たな予防法および対処法を開発することを目的とする.
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研究実績の概要 |
スポーツ領域のバーンアウトは選手が呈する症状の重篤化の程度(バーンアウト傾向)と発症に至るまでの過程(発症プロセス)から捉える必要があるとされる.従来のバーンアウト研究では,バーンアウト傾向に焦点があてた研究が主流であり,発症プロセスを量的に検討した研究は見当たらない.そこで,本研究ではバーンアウトの発症プロセス(熱中状態,停滞状態,固執状態,消耗状態)に及ぼすコーピング方略およびソーシャルサポートの影響について,量的データを用いて検討することを目的としている. 2022年度は,大学生スポーツ選手を対象に基本属性のそれぞれがバーンアウト傾向を悪化させる危険因子となり得るか否かを検討し,活動休日が週に1日以下の選手は活動休日が2日以上ある選手より,準レギュラー選手はレギュラー選手より重篤化のリスクが高いことが明らかになった.なお,この研究成果は「九州体育・スポーツ学研究」に掲載された. また,3つの学会大会で研究発表を行った.1つ目は,大学生スポーツ選手を対象に,バーンアウトの発症プロセスにある各競技状態(熱中状態,停滞状態,固執状態,消耗状態)における基本属性差を検討し,競技種目差,継続年数差,活動状況差および競技レベル差を確認した.2つ目は,発症プロセスに及ぼすコーピング方略の影響をパス解析により検討し,問題解決は熱中状態には促進的な影響を及ぼし,停滞状態および消耗状態には抑制的な影響を及ぼすことが示唆された.3つ目は,発症プロセスに及ぼすソーシャルサポートの影響をパス解析により検討し,理解激励サポートおよび情報提供サポートは熱中状態には促進的な影響を及ぼし,娯楽共有サポートは消耗状態に抑制的な影響を及ぼしていることが確認された. 今後は,コーピング方略とソーシャルサポートの2要因を検証モデルに組み込み検討し,各変数が及ぼす影響を解明することを目指す.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
バーンアウトを発症した選手には,発症に至るまでに競技への強い「固執」が認められる.そのため,固執状態の緩和がバーンアウトの予防法を確立する上で特に有効になる考えられる.しかし,ここまでの研究では,コーピング方略およびソーシャルサポートのいずれも固執状態への有意な影響は確認されていない.そのため,使用尺度や分析方法の変更を含め再度検討する必要が考えられる.これらのことから,「やや遅れている」と判断された。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は,2022年度に学会発表まで終えているバーンアウトの発症プロセスにおける競技状態の基本属性差を検討した研究成果を,学術誌に掲載することを目指す.さらに,コーピング方略およびソーシャルサポートの両要因を組み込んだ,両要因が各競技状態に及ぼす影響を検討する検証モデルを構築し,パス解析により検討する.そして,そこから得られた研究成果を学術誌に掲載することも目指す.
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