研究課題/領域番号 |
21K17605
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分59020:スポーツ科学関連
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研究機関 | 公益財団法人東京都医学総合研究所 (2022-2023) 日本医科大学 (2021) |
研究代表者 |
朴 ジョンヒョク 公益財団法人東京都医学総合研究所, 精神行動医学研究分野, 研究員 (80835843)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2021年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 高強度運動 / 作業記憶 / 乳酸 / NADH/NAD+ / NADH / 海馬 / ワーキングメモリ / 神経可塑性遺伝子 |
研究開始時の研究の概要 |
最近,空間的作業記憶は脳の前頭前野だけではなく海馬により調節されており,更に海馬のNMDA受容体が作業記憶に大きな影響を持つ.一方,乳酸は脳,とりわけ記憶を担う海馬の神経活動に主要なエネルギー基質であり,認知機能に影響する.近年,神経細胞への乳酸の取り込みがNMDA受容体を活性化し,神経可塑性関連遺伝子の誘導をもたらすことから,本研究では,一過性の高強度運動で高まる血中乳酸が,海馬に取り込まれ,それがNMDA受容体シグナルの強化を介して神経可塑性を高め,その結果として空間的作業記憶の向上をもたらすか否か検討する.
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研究成果の概要 |
近年、神経細胞への乳酸添加が細胞内NADH/NAD+比を高め、神経可塑性関連の初期応答遺伝子(IEGs)の発現を高めることが報告されている。そこで、非運動群と比較して30分間の高強度のトレッドミル走運動を課したマウスにおいては運動後にY字型迷路試験による短期作業記憶の向上、並びにIEGs(Arc、c-Fos、Zif268)mRNA発現量の増加が認められた。さらに、マウスの腹腔内へ乳酸投与は海馬のNADH/NAD+比を増加させる傾向を示したことから、運動由来の乳酸が海馬のNADHの増加およびIEGsの発現量の増加に寄与し、短期作業記憶の向上効果をもたらす可能性が示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
定期的な運動が脳機能を向上させ、認知症の予防効果をもたらす。近年、運動による骨格筋から生理活性物質の増加がアルツマイマー病でみられる記憶力の低下、認知障害に対して防御的な効果を示す。そのうち乳酸は脳、特に海馬の神経細胞を活性化し作業記憶を向上させる重要な因子と考えられている。本研究の成果は、血中乳酸濃度を高める強度の一過性運動においても短期作業記憶の向上効果を示し、その機序にはIEGsの発現を高めるNADH/NAD+比の増加が重要な役割を果たす可能性が示唆された。従って、今後、健康の維持増進のために高強度運動を推奨していく上で重要な基礎的研究結果となり得ることが期待される。
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