研究課題/領域番号 |
21K17614
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分59020:スポーツ科学関連
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研究機関 | 東京工業高等専門学校 |
研究代表者 |
八田 直紀 東京工業高等専門学校, 一般教育科, 講師 (10881089)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 大学生アスリート / 社会性と情動の学習 / キャリア・トランジション / ウェルビーイング / キャリア / プログラム評価 |
研究開始時の研究の概要 |
大学入試にスポーツ推薦制度が広く導入されている一方で,卒業後も競技スポーツを続けられる大学生アスリートは少ない。大学生アスリートはキャリア・トランジション段階において,ウェルビーイングの低下を経験しやすいため,高等教育機関においては,在学中のみならず,卒業後のウェルビーイング(例:アイデンティティ再体制化や自尊心の向上)にも寄与する予防的なキャリア支援プログラムが求められる。本研究では,社会性と情動の学習理論に基づき,彼らの卒業後のウェルビーイングを促進するキャリア支援プログラムの開発を,参加型アクションリサーチ手法により試みる。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、大学生アスリートから社会人へのキャリア・トランジション後におけるウェルビーイングの促進を意図した、社会性と情動の学習(以下SELと略す)プログラムの開発である。元大学生アスリートである社会人を対象に、SEL-based Well-being Promotion Model for College Athletes (Hatta, 2018)に基づき、ニーズアセスメントを実施した。その結果、大学在学中の彼らのコンピテンス、周囲の環境や行動の中で、社会人となった後の人生満足感に影響を与える要因は、大学在学中の勉強及び日常的な行動であることが示唆された。また、職場満足感に影響を与える要因は、大学生アスリートとしての社会への気づきであることが示唆された。先行研究においても、ポジティブなキャリア・トランジションを促すために、大学生アスリートがスポーツ以外のことにも興味を持ち、他の物事とのバランスを保つことの重要性が指摘されている。大学在籍時に、単に競技に打ち込むのみならず、スポーツ場面以外においても積極的に行動したり、大学スポーツと社会との関わりなどを理解しようとしたりする姿勢は、大学生アスリートの社会人への円滑なキャリア・トランジションに寄与することが推察された。一方で、本調査の中で、社会人以降の人生の目的に関する心理的ウェルビーイングに影響を与える要因は見られなかった。ほとんどの大学生アスリートは、大学卒業とともに、競技としてのスポーツは引退することになる。競技スポーツとは別の新たな人生の目標を見つけるには、何らかの支援が必要であるかもしれない。これらのことから、競技スポーツを終えた先にある人生の目標設定など、キャリア成熟を高めるようなSELプログラムのニーズが、元大学生アスリートの社会人にあることが推察された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
元大学生アスリートの社会人を対象としたニーズアセスメントの分析、大学生アスリートのキャリア・トランジションに着目した介入プログラムのレビューを行った。現在は、大学生アスリートの大学卒業以降のウェルビーイングの促進に寄与するSELプログラムの開発段階に入っている。Getting To Outcomes(Chinman et al, 2004)などの介入プログラムの計画・実施・評価ツールを参考に、プログラムの目標やロジックモデルの明確化を慎重に行っている。また、大学3―4年生の大学生アスリートを対象に予備的な介入を行えるよう、協力団体と積極的に調整を行っている。その際、介入する組織のステークホルダー(教員や指導者など)の意見も聞き取りながら、実践するSELプログラムの内容の検討を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
インターネット調査も併用しながら、元大学生アスリートの社会人を対象に量的調査を実施し、SELプログラムが依拠する理論モデルの精緻化を行う。その結果に基づき開発したSELプログラムを修正し、予備的な小規模な実践を行う。実際にSELプログラムを実施した際に明らかとなった不備やマニュアルを修正したうえで、本調査を実施する。実施したSELプログラムのプロセス評価及びアウトカム評価を行い、プログラム効果の検証を行う。
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