研究課題/領域番号 |
21K17636
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分59040:栄養学および健康科学関連
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
金井 雄 筑波大学, 医学医療系, 講師 (10647647)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 超早産児 / 脂肪酸 / 多価不飽和脂肪酸 / 胎児発育 / 栄養 / アラキドン酸 / 未熟児網膜症 / 妊娠糖尿病母体児 / SGA児 / アディポネクチン / 神経学的発達 / メタボリックシンドローム |
研究開始時の研究の概要 |
超早産児は母体から経胎盤的に栄養が与えられる時期に出生するため、出生後の栄養管理が重要である。脂肪酸は様々な脂質の構成成分となり、中枢神経をはじめとする臓器形成に重要な役割を果たす。脂肪酸はその種類によって体内での作用や役割の違いが指摘され、神経学的予後、将来のメタボリックシンドロームなどの観点から超早産児に重要な栄養素であるにも関わらず、実際の過不足に関するデータに乏しい。本研究は超早産児の脂肪酸の状態を経時的に分析し、満期産児と比較した修正満期の超早産児の栄養状態、栄養法の影響、その後の成長や発達に与える影響を明らかにし、脂肪酸からみた超早産児の予後改善の栄養戦略について検討する。
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研究実績の概要 |
早産児の栄養法については胎内環境を目標とすることが多いが、脂質の投与方法については近年のガイドラインにおいても胎内環境と比較したデータを根拠として検討された内容にはなっていない。そこで、本研究では超早産児として出生し、修正満期を迎えた児の長鎖脂肪酸及び極長鎖脂肪酸を網羅的に解析し、胎内で満期まで経過する児と比較することで、超早産児の脂質に関する栄養状態をより詳細に評価し、超早産児の栄養法の質の向上を目指すことを目的とする。 これまでに満期で出生した児の臍帯血50例及び28週未満で出生した超早産児が予定日前後(修正満期)に達した際の静脈血16例を採取し、LC-MS/MSによる全脂質脂肪酸分析を行い、C12-24の炭素鎖を持つ主要な脂肪酸について網羅的に計測した。 脂肪酸全体では満期産児の臍帯血に比べて、修正満期の超早産児の静脈血の方が有意に高値であることが確認された。飽和脂肪酸、一価不飽和脂肪酸、n-6系多価不飽和脂肪酸(PUFA)、n-3系脂肪酸に分類したところ、n-3系脂肪酸以外の上昇が大部分であり、n-3系脂肪酸の脂肪酸全体における割合は低下していた。個々の脂肪酸の比較については中枢神経の発育に重要と考えられるアラキドン酸(C20:4n-6)は低値であった。一方でリノール酸(C18:2n-6)やαリノレン酸(C18:3n-3)は非常に高値であり、n-6系PUFA、n-3系PUFAの炭素鎖を延長する酵素の働きが不十分であることが示唆された。さらに修正満期の時期に母乳栄養が行われている児ではアラキドン酸が高値であり、この点に関しては母乳栄養が理想的であると考えられた。早産児に発症する疾患と脂肪酸との関連についても検討を行い、重症の未熟児網膜症の発症とアラキドン酸の割合の低値が関連することが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
超早産児の修正満期の静脈血と満期産児の臍帯血の脂肪酸の違いは明らかとなり、超早産児の修正満期における栄養学的な特徴も明らかとなった。また、栄養法による違いも確認され、現状で理想とされる栄養法についても考察することが可能となった。さらに超早産児に特有な疾患と脂肪酸の関連が示唆される治験を得ることができ、今後どのように介入すべきであるかの方向性が示唆された。
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今後の研究の推進方策 |
現状のデータをまとめ、論文作成を行いながら、脂肪酸とIGF-1などの成長因子との関連などを追加で検討する。
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