研究課題/領域番号 |
21K17645
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分59040:栄養学および健康科学関連
|
研究機関 | 玉川大学 |
研究代表者 |
原 百合恵 玉川大学, 農学部, 准教授 (10813925)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
|
キーワード | メトホルミン / クエン酸 / 糖尿病 / AMPK / 糖質代謝 / 血糖値 |
研究開始時の研究の概要 |
2型糖尿病治療薬のメトホルミンは、AMPK(AMP-activated protein kinase)の活性化により肝臓での糖新生を抑制し血糖値を低下させるが、効果が十分に得られない場合も多い。申請者は、クエン酸摂取はメトホルミンの効果とは逆に肝臓での糖新生を亢進させ血糖値を上昇させることを明らかにしてきた。クエン酸とメトホルミンは拮抗的な作用を持つことから、クエン酸摂取がメトホルミンの効果を減弱させる可能性がある。本研究では、糖尿病モデルマウスを用いて、クエン酸摂取がAMPK活性化を抑制しメトホルミンの作用を減弱させるか検証し、メトホルミンと相互作用する食品成分を提示することを目的とする。
|
研究実績の概要 |
2型糖尿病治療薬のメトホルミンは、AMP-activated protein kinase(AMPK)の活性化により肝臓の糖新生を抑制し血糖値を低下させる。申請者は、正常マウスにおいてクエン酸摂取はメトホルミンの効果とは逆に肝臓での糖新生を亢進させ、血糖値を上昇させることを明らかにしてきた。クエン酸とメトホルミンは拮抗的な作用を持つ可能性があるため、本研究では、糖尿病モデルマウスにおけるクエン酸の摂取がメトホルミンの血糖降下作用に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。 令和4年度にはメトホルミン投与60分後の血糖値および肝臓における糖質代謝関連酵素の遺伝子発現を測定した。その結果、メトホルミンにより血糖値が有意に低下し、クエン酸による血糖上昇はみられなかった。遺伝子発現解析では、メトホルミンによる糖新生関連酵素フルクトース1,6ビスホスファターゼ(Fbp1)の有意な上昇、クエン酸による糖新生関連酵素ピルビン酸カルボキシラーゼ(Pcx)の有意な低下がみられたが、AMPKの有意な変化はみられなかった。以上の結果をふまえ、令和5年度にはメトホルミンおよびクエン酸投与30分後において同様に検討した。その結果、メトホルミンにより血糖値は有意に低下し、クエン酸による血糖上昇はみられなかった。遺伝子発現解析においても投与60分後と同様にメトホルミン投与30分後においてFbp1の有意な上昇がみられたが、クエン酸によるPcxの有意な低下はみられず、メトホルミンおよびクエン酸によるAMPKの有意な変化はみられなかった。以上より、投与30分、60分後の時点においてメトホルミンによる血糖降下作用はみられたが、クエン酸による血糖上昇作用は確認されず、遺伝子発現レベルではAMPKの関与も認められなかったことから、クエン酸はメトホルミンの血糖降下作用を減弱させない可能性が示された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
産前産後の休暇に伴い研究を中断したため。
|
今後の研究の推進方策 |
クエン酸の摂取がメトホルミンの血糖降下作用に与える影響について、投与後30分後と60分後の時点での血糖変化と糖新生関連酵素およびAMPKの遺伝子発現の変化を中心に解析し、投与30分後と60分後においてはクエン酸の摂取がメトホルミンの血糖降下作用を減弱させないことを示した。今後は、クエン酸の投与量や投与期間の違いによりメトホルミンの血糖降下作用に及ぼす影響がないか検討していく予定である。
|