研究課題
若手研究
敗血症は一度発症すると進行が早く、重症化や二次感染を引き起こしやすい。そのため、国内外において死亡率が非常に高い疾患である。本研究では、敗血症の効果的な予防的介入として、内因性イリシンレベル、そしてイリシン分泌の要となる運動およびプロバイオティクスに着目し、これらが、敗血症性炎症および免疫機能低下を保護し生存率低下を防ぐという仮説について検証する。
敗血症は感染症が起因となって発症し、炎症や多臓器不全を経て死に至る重篤な疾患である。また、重症化を引き起こしやすく、国内だけに限らず国外においても死亡率が高い疾患である。そのため、敗血症の罹患や重症化を避けるための特異的治療法や予防的介入法の開発が望まれる。Irisinは運動や寒冷刺激によって骨格筋細胞から分泌されてくる運動ホルモンであり、あらゆる疾患に対する機能や体の恒常性に関する効果が知られてきている。また、炎症性サイトカインの発現を制御することにより、抗炎症作用や障害に対する保護効果も示されている。我々はこれまでに、内因性の循環Irisinレベルを著しく上昇させる運動プログラムを新たに立ち上げ、運動直後より分泌されたIrisinが長時間体内に循環し続けることを示した。また、運動による内因性Irisin分泌上昇が敗血症モデルマウスにおける炎症性病態の予防的介入として寄与する可能性があるかどうか検証したところ、病理組織学的解析からは複数の臓器において炎症や浮腫などを抑制することが認められ、さらに生存率においては上昇する傾向が示唆された。2023年度は運動と栄養素による予防的介入の第一段階として、まずは筋肉の修復に必要となるタウリンを継続的に摂取させ、Irisin分泌の上昇および維持に寄与するかどうか確認し、併せて免疫組織化学的解析により検証した。しかしながら、有意な結果は得られなかった。そのため、他の研究解析結果も併せて精査する。
3: やや遅れている
運動とタウリン継続的摂取によるIrisin分泌および組織への影響について、有意な結果が得られなかったため。
他に計画している研究解析結果の検証をしながら、実験条件などを再考して、再度、運動と栄養素のIrisinに対する影響について検証し、さらにはこれらの予防的介入による敗血症性病態への保護効果について調べる。また、これまでに取得したデータを用いて論文作成を行っていく。
すべて 2024 2021
すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 1件)
Genes to Cells
巻: - 号: 5 ページ: 1-8
10.1111/gtc.13113
日本食品工学会誌
巻: 25
Biomedicines
巻: 9 号: 2 ページ: 162-162
10.3390/biomedicines9020162