研究課題/領域番号 |
21K17652
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分59040:栄養学および健康科学関連
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研究機関 | 岡山医療専門職大学 |
研究代表者 |
田中 雅侑 岡山医療専門職大学, 健康科学部 理学療法学科, 助教 (10780497)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 糖化ストレス / 肥満 / 骨格筋 / 毛細血管 / 高脂肪食 / メチルグリオキサール / 糖尿病 / 血管障害 |
研究開始時の研究の概要 |
終末糖化産物(AGEs)の蓄積は血管障害を引き起こす要因である.一方で,肥満はAGEsの生成を抑制する生体防御機能を低下させると報告されていることから,肥満はAGEsの蓄積を助長し,血管障害を促進すると仮説を立てた.そこで本研究では,肥満がAGEsの蓄積を促すことで骨格筋内の微小血管障害を引き起こし,骨格筋の機能低下を引き起こすのか明らかにすることを目的として,組織学的・生化学的手法を用いた基礎的研究を実施する.
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研究実績の概要 |
本研究では、糖化ストレス負荷に肥満が加わると、糖化ストレス負荷のみの場合と比べて骨格筋毛細血管退行がさらに進むと仮説を立て、終末糖化産物前駆体メチルグリオキサールと高脂肪食の長期摂取を行わせる実験を実施している。 本研究は3年計画であり、2023年度は3年目にあたる。当初の計画より遅れが生じているが、糖化ストレス負荷動物、糖化ストレスに肥満を組み合わせた動物、およびより高度な糖化ストレス負荷モデルとして糖尿病動物モデルの解析を進めている。メチルグリオキサールによる糖化ストレス負荷モデルおよび糖尿病モデルのいずれにおいても、遅筋から構成されるヒラメ筋に比べて、速筋から構成される長趾伸筋において筋毛細血管退行が認められた。また、長趾伸筋においてのみ、血管新生作用や血管内皮細胞の保護作用を持つ一酸化窒素の合成酵素の活性化が低下する傾向が見られた。 これらの結果から、糖化ストレスが亢進すると特に速筋において血管内皮細胞の破綻が進みやすくなり、毛細血管の退行性変化に繋がることが示唆される。現在、さらに詳細な機序を分子生物学的レベルで検証している。骨格筋における毛細血管の退行は血液灌流量の低下を招き、筋組織への酸素供給を制限する。これにより、筋組織の線維化や筋内脂肪蓄積、ミトコンドリア代謝機能の低下が引き起こされるとされている。現在、速筋で見られた毛細血管退行が筋量低下や筋質の低下、筋機能低下にどのように関わるかについても検証を進めているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究初年度の遅れが影響し、依然として研究開始当初の予定と比べると研究の進捗状況は遅れている。現在は、肥満と糖化ストレスを組み合わせたモデルや糖尿病モデルにおける骨格筋毛細血管の退行様相やその機序の解明を進めているところである。当初は2023年度で終了予定としていたが、より精度の高い研究成果が得られるよう、2024年度も研究期間を延長して検証を進めることとする。
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今後の研究の推進方策 |
糖化ストレスと肥満を組み合わせたモデル動物や糖尿病動物の骨格筋の解析を進め、糖化ストレスによる骨格筋の障害が肥満により増強するのか検証するとともに、その背景にあるメカニズムを明らかにする。また、得られた成果を関連する学術大会等で発表し、国際学術誌への投稿準備を進める予定である。
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