研究課題/領域番号 |
21K17657
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分59040:栄養学および健康科学関連
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
朴 寅成 筑波大学, 国際統合睡眠医科学研究機構, 研究員 (60812302)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
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キーワード | エネルギー代謝 / 睡眠 / オレキシン / ヒューマンカロリメータ / スボレキサント / 脂質酸化 / 尿メタボローム |
研究開始時の研究の概要 |
睡眠不足、睡眠時刻のずれや不眠による睡眠障害が肥満や糖尿病等代謝異常疾病のリスク要因となっている。睡眠障害の解消として薬物療法があり、特に副作用の少ないオレキシン受容体拮抗薬が睡眠導入薬として近年使われている。オレキシン系は、睡眠/覚醒リズムとエネルギー代謝を連動する仕組みの主要な構成要素と考えられているが、ヒトの研究では睡眠とエネルギー代謝を関連づけるオレキシン系の機能が明らかにされていない。本研究では、オレキシン受容体OX1RとOX2Rの拮抗薬の投与が睡眠時エネルギー代謝に及ぼす影響を検討し、ヒトの睡眠時エネルギー代謝にオレキシン系が関与しているか否かを明らかにする 。
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研究実績の概要 |
本研究は、ヒトの睡眠時エネルギー代謝、特に酸化基質の選択にオレキシン系が関与しているのか否かを明らかにすることである。若年健常人男性14名を対象に、ヒューマンカロリメータを用いてエネルギー代謝測定と睡眠脳波測定を同時に実施した。研究デザインはプラセボ対照、ランダム化、二重盲検、クロスオーバー試験とした。就寝10分前にオレキシン受容体拮抗薬(スボレキサント20mgあるいはプラセボ)を経口投与して睡眠時エネルギー代謝測定と共に睡眠の精査を行った。 睡眠は急速眼球運動(レム)睡眠と非急速眼球運動(ノンレム)睡眠に分けられ、ノンレム睡眠は更にN1、N2、N3の3つの睡眠ステージに分けられる。スボレキサント投与はプラセボ投与に比べて脂肪酸化を増大させた(プラセボ試行: 152.39 ± 43.17 kcal/8h vs. スボレキサント試行: 180.41 ± 40.66 kcal/8h, p < 0.05)。エネルギー消費と炭水化物酸化には統計学的に有意な差は認められなかったが、タンパク質異化量においてスボレキサン試行がプラセボ試行より有意に下がった(P<0.05)。また、尿メタボローム分析によりTCAサイクル系においてはSuccinate酸でスボレキサント試行で有意に増加し、アミノ酸系において3-metylhistidineでは、スボレキサント試行が有意に減少した。睡眠測定の結果では、スボレキサント投与はN1の短縮やレム睡眠の増加において統計学的に有意な差を検出したが、他の睡眠指標については統計学的に有意な差は認められなかった。睡眠ステージ毎のエネルギー代謝の比較では、ステージ2の睡眠時の脂肪酸化がスボレキサント試行で統計学的に有意に高値を示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は計画通りに睡眠に問題の無い健常な若年成人男性を研究対象者にエネルギー代謝、睡眠時の脳波、尿メタボローム及び深部体温の測定を終了し、分析を進めている。睡眠時のエネルギー代謝に関する検討においては両試行間で脂質酸化量及びタンパク質異化量に差があることが示唆される結果が得られている。本研究成果に対して、The 11th IIIS symposiumにて結果発表を行い、活発なディスカッションや意見交換によって論文執筆に貴重な情報や新しい知見を得ることができた。現在はデータの分析を進めながら、論文執筆を進めている段階であり、当初の計画よりもやや早い進捗状況であると言える。
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今後の研究の推進方策 |
概ね当初の研究計画に沿って進めているため、学会での情報収集を行なって早めの論文執筆を遂行する。
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