研究課題/領域番号 |
21K17658
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分59040:栄養学および健康科学関連
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研究機関 | 東京海洋大学 |
研究代表者 |
田中 誠也 東京海洋大学, 学術研究院, 助教 (40897906)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2022年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2021年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | ホスファチジルコリン / 異性体 / LC/MS/MS / ドコサヘキサエン酸 / リン脂質 / DHA / 保健機能 / 構造異性体 / 多価不飽和脂肪酸 / 有機合成 |
研究開始時の研究の概要 |
リン脂質(PL)は細胞膜を構成する重要な脂質成分であり、PL自身およびそれに結合する脂肪酸には脳機能改善効果や動脈硬化予防効果などの生理作用を有することが知られている。PLにはsn-1位とsn-2位の2つの結合位置が存在し、生理機能を持つと報告されている多価不飽和脂肪酸のほとんどはsn-2位に結合し、飽和脂肪酸はsn-1位に結合している。本研究では、多価不飽和脂肪酸がsn-1位に結合し、sn-2位に飽和脂肪酸を結合した通常とは逆の結合をしたPLを合成し、通常と同じ結合様式のものと脂質代謝改善作用などの生理作用を比較する。本研究でPL中脂肪酸結合位置と保健機能との関係を明らかにする。
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研究成果の概要 |
本研究では、代表的なリン脂質であるホスファチジルコリン(PC)について、脂肪酸の結合位置による異性体について分析法および体内分布を精査した。市販されていないPC異性体を有機合成および分取精製により作製した。作製したPC異性体の標準品を用いてPC異性体の精確な定量法を開発した。マウス体内におけるPC異性体分布を調べたところ、脳でのみPC異性体が存在し、投与したDHAはPCのsn-1位にDHAが結合したPC異性体として多く取り込まれていた。またDHAが結合したPC異性体間でDHAの吸収性を調べたところ、DHAはsn-1位よりもsn-2位に結合していたほうが血中への移行性が高いことが示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究結果によりリン脂質の中でも代表的であるホスファチジルコリン(PC)について、脂肪酸の結合位置が異なる位置異性体について、その正確な定量法を開発することができた。これは他のリン脂質にも適用できる手法であり、リン脂質研究の幅を広げる価値がある。さらに体内では脳で特異的にPC異性体が存在し、経口摂取したドコサヘキサエン酸(DHA)は脳では異性体に主に取り込まれることが明らかになった。このことはリン脂質異性体は脳で特別な生理的意義があることを示唆している。本研究は、リン脂質異性体の機能性研究の糸口になると考えられる。
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