研究課題/領域番号 |
21K17702
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分60010:情報学基礎論関連
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
品川 和雅 茨城大学, 理工学研究科(工学野), 助教 (20896089)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 暗号理論 / カードベース暗号 / 秘密計算 |
研究開始時の研究の概要 |
秘密計算とは、各参加者の入力情報を隠したまま全員の入力に関するある計算を行う暗号技術である。通常、秘密計算プロトコルはコンピュータ上に実装されるが、物理的なカード組を用いても秘密計算を実現できることが知られている(カードベース暗号)。カードベース暗号にはいくつかの未解決問題があるが、アドホックな手法では解決することが難しいように思われる。そのため、本研究ではカードベース暗号の背後に潜む数理構造を明らかにすることを試みる。特に本研究では、申請者が最近提案した概念である文字列の共役化問題の考察に取り組み、その理論を深めることでカードベース暗号の数理を解き明かすことを目指す。
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研究実績の概要 |
本年度に実施した研究の具体的な成果は以下の通りである。 前年度に引き続き、カードベース暗号と秘匿同時通信の関係性についての研究を行い、特に秘匿同時通信の通信量下界がカードベース暗号の下界を導出できることに注目し、具体的な関数に対する秘匿同時通信の通信量下界を実際に導出した。この成果は国際会議INDOCRYPT 2023で発表した。また、秘匿同時通信の上界について、平方剰余を用いたプロトコルの構成を行った。本成果はDesigns, Codes and Cryptographyに採録された。 カードベース暗号においてシャッフル操作は重要な操作であるが、どのようなシャッフル操作が簡単なシャッフル操作から実現できるかについての研究を行なった。これを一様巡回群分解という新しい数学的概念を導入することによって見通しよく議論を行なった。本成果はSCIS2024と日本数学会年会で発表し、その成果はCommunications in Algebraに採録された。 カードベース暗号において、対称関数は特に重要な関数クラスであり、この関数に対するカード枚数の削減は未解決問題であった。これに関して、多色カードを用いることにより、追加カードなし、あるいは、追加カード1枚の効率的な対称関数プロトコルを構成した。この成果はCSS 2023で発表した。 カードベース暗号で近年ゼロ知識証明が活発に研究されているが、特に数独に対するゼロ知識証明プロトコルの研究は中心的課題である。これに関して、シャッフル3回の効率的なプロトコルを構成した。この成果はCSS 2023で発表した。 カードベース暗号でトランプを用いる研究も近年いくつか行われているが、部分開示という新しい操作を用いてランダムカットのみを用いた効率的なコミット型プロトコルを開発した。この成果はCSS 2023およびSCIS 2024で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本年度の成果は雑誌論文8件、学会発表18件であり、非常に多くの対外発表を行うことができた。また、国際研究集会ICIAM 2023においてカードベース暗号に関するワークショップを開催し、海外の研究者を含めたカードベース暗号の研究者との議論を行なった。さらに、効率的な対称関数プロトコルやシャッフル回数の少ない数独プロトコルについても大幅な進展があった。以上のことから、本研究は計画以上に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
次年度も本年度と同様に継続して研究に取り組み、国内会議、国際会議、論文誌等に発表していくつもりである。本年度は、前年度に発見したカードベース暗号と秘匿同時通信の関係性についての研究や、対称関数プロトコルや数独プロトコルの開発などを行なった。次年度は、これらの新しい技術についての理解を深め、さらなる探究を行うことを計画している。
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