研究課題/領域番号 |
21K17708
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分60020:数理情報学関連
|
研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
澄田 範奈 東京工業大学, 情報理工学院, 講師 (10761356)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
|
キーワード | 公平割当 / 確率的割当 / マトロイド / オンライン最適化 / 組合せ最適化 |
研究開始時の研究の概要 |
公平分割問題は,財や資源を複数人で公平に分けるという問題であり,実用上も重要な問題である.財に対する効用(うれしさ)の情報が厳密に分かる状況については様々な研究がなされているが,実用上は財や効用の情報が厳密には分からないことも多々ある. 本研究課題では,効用の情報が厳密には分からない状況にも対応できるアルゴリズムを構築する.特に不可分財が逐次的に与えられる状況や不可分財に対する効用の情報が不確実な状況に着目し,組合せ最適化における手法や技術を生かしてアルゴリズムの構築および性能の解析を行う.
|
研究実績の概要 |
本研究の目的は,不可分財を複数のエージェントに公平に割り当てるという公平分割問題において,財に対する効用(うれしさ)の情報が厳密には分からない状況にも対応できるアルゴリズム理論を構築することである.公平分割問題は社会の様々なところに現れるが,実用上は財や効用の情報が厳密には分からないことも多々あるため,本研究では情報が欠如した状況に対応するための理論を整備する. 2022年度は主に,エージェントの財の価値の数値は分からないが価値の順序(選好)は分かる,という設定において,できるだけ公平な割当を求める問題に取り組んだ.特に,確率的な割当(財の集合の確率分布,くじのようなもの)に着目する.数値情報がわかっていても不可分財の割当では公平性と効率性(無駄がないこと)を両立することは一般に難しく,財を確率的に割り当てることは対応策のひとつである.既存研究では,割り当てに制約がない場合に,公平かつ効率的な割当を求めるメカニズムが提案されている.しかし,授業科目割当やシフト割当などを考えると,一般には各エージェントに割り当てられる財の集合に制約がありうる.既存研究のメカニズムを制約がある状況に適用しても,望ましい割当が求められるとは限らない. そこで本研究では制約のある場合に着目する.主結果は,(1) エージェントの人数,(2) 制約がマトロイドかどうか,(3) 制約がエージェント間で同じかどうか,(4) 選好が同じかどうか,について場合分けし,公平・効率的な割当が必ず存在するかどうかを解析したことである.また,望ましい割当が存在するケースに対しては,その割当を求めるメカニズムも提案した.この成果はプレプリントとして公開済みであり,国際会議でも採択されている. また,他にも公平分割問題に関する研究を行い,国際会議で発表予定である.さらに,前年度に行った研究を国際会議と国内学会で発表した.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画で取り上げた,財の順序のみ分かる場合の公平分割問題に対して,細かく未解決な部分は残っているもののほぼすべての場合について解析できており,国際会議に採択されるところまでたどり着いているため.
|
今後の研究の推進方策 |
引き続き,情報が不足していても公平性や効率性を担保できるアルゴリズムの開発を行う.また,逆にどんな情報が追加で得られれば公平・効率的になるかといった点の解析も行う.例えば,オンライン最適化では将来の情報が未知であるが,何らかの手段で得られた「予測」を用いると結果をより良く可能性がある.今後はそのような状況についても検討する.
|