研究課題/領域番号 |
21K17717
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分60030:統計科学関連
|
研究機関 | 兵庫医科大学 |
研究代表者 |
井桁 正尭 兵庫医科大学, 医学部, 准教授 (10821788)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | 用量探索試験 / 臨床試験デザイン / 適応的デザイン / ロバスト化 / 再発事象 / 過分散カウントデータ / 例数設計 / 盲検下例数再設計 / ロバストネス / サンプルサイズ設計 / カウントデータ / 用量探索デザイン |
研究開始時の研究の概要 |
新たな治療法開発を目的とした臨床試験の成功確率を向上させる目的で,研究途中のデータに基づいて研究デザインを最適化する適応的デザインが注目されている.しかし,従来の適応的デザインは,使用するモデルの指定を誤るとデザインを最適化できず,研究の成功確率が低下するという問題がある.本研究では,研究途中のデータに基づいて目標症例数を修正する例数再設計法及び抗がん剤開発における用量探索試験に着目し,モデルの誤指定のもとでも安定した研究成功確率を確保できる適応的デザインを開発する.
|
研究実績の概要 |
抗がん剤開発における第I相用量探索試験では,最大耐用量 (Maximum Tolerated Dose, MTD)と呼ばれる,認容可能な毒性の範囲内における最高用量を精度よく特定することが求められる.用量探索試験において,Continual Reassessment Method (CRM)やBayesian Optimal Interval Design (BOIN) は,統計学的に望ましい性質をもつ代表的なデザインとして用いられてきた.しかし,各用量の未知の毒性の強さ(シナリオ)に応じて動作特性の優劣が異なるため,臨床試験を計画する段階で最適なデザインを選択することは困難である. CRMやBOINを包含するより広いデザインのクラスとして,Semiparametric dose-finding methodsが提案されているが,適用する際にはデザインを特徴づけるパラメータを指定する必要があるため,シナリオ間で動作特性が不安定になる問題は残されている. 本年度は,Semiparametric dose-finding methods (SPM) の枠組みで表現されるデザインをベイズ流の枠組みで統合する方法を開発した.デザインの優劣に関する事前情報がない無情報事前分布のもとでは,観測データに良く適合するデザインにより大きな重みを与える形で統合がなされることが示された.この結果により,臨床試験計画段階で採用するデザインを1つに絞る必要性や困難を軽減できることが期待される.論文の公表には至らなかったが,シミュレーション研究の結果,CRMとBOINをSPMの枠組みで拡張したSP-CRM,SP-BOINを統合したデザインの動作特性は,これら単独の動作特性と比較してシナリオ間でのばらつきが小さく,高い頑健性をもつことが示された.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
SPMの枠組みで表される用量探索試験デザインをベイズ流に統合する際に,基盤となる理論を開発したが,統合するデザインをどのように選択すべきかを明らかにできておらず,検討を続けているため,予定していた論文投稿時期よりも遅れている.
|
今後の研究の推進方策 |
統合するデザインを選択する際に候補となるデザインは無数に存在しており,それらをすべて列挙して統合することはできない.また,広範なデザインからのサンプリングは,動作特性を評価するシミュレーション研究において実行時間が膨大になる.そこで,観測データの情報に基づいて逐次的にデザインをサンプリングして統合する方法を検討している.具体的には,毒性発現確率の事後分布からのサンプリングにより効率的なデザイン統合が期待される.期待した結果が得られた場合には,昨年度に検討した経時測定過分散カウントデータの比較臨床試験を想定した例数設計法,盲検下例数再設計法とともに論文作成を進める.
|