研究課題/領域番号 |
21K17723
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分60040:計算機システム関連
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研究機関 | 早稲田大学 (2022-2023) 福岡大学 (2021) |
研究代表者 |
西澤 真一 早稲田大学, 理工学術院(情報生産システム研究科・センター), 講師(任期付) (40757522)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | トランジスタ特性診断 / 集積回路 / フリップフロップ / 記憶保持特性 / NBTI / モニター回路 / 記憶特性 |
研究開始時の研究の概要 |
回路中のトランジスタの劣化現象を低コストで診断する手法について研究する.集積回路ではスキャン設計を利用し製造後にスキャンテストを行うが,機能テストが目的であり出荷後に本機能は活用されていなかった.一方でトランジスタの経年劣化が問題視されており様々な診断専用回路が提案されているが回路面積を消費する問題があった.そこでスキャン機能をトランジスタ特性診断に「再利用」する事で低コストにトランジスタの劣化を診断する.スキャンフリップフロップはそのトランジスタ特性の変動によって記憶特性が変化する.そこでスキャンフリップフロップの記憶特性からトランジスタの劣化量を逆算する.
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研究実績の概要 |
フリップフロップの記憶特性を利用してトランジスタ特性劣化量の推定を行う.昨年の報告の通り,フリップフロップの記憶保持特性の実測結果がシミュレーションの結果とは異なる課題の解決に取り組んでいる.ランダムばらつきの影響が記憶保持特性の実測結果に与える影響を適切に排除できていない可能性があり,ランダムばらつきの影響を除去する方法について検討を行っている.一般的なランダムばらつきの除去には平均化(中心極限定理)があるが,記憶保持特性の評価ではその平均値の算出の妥当な定義が必要であり,シミュレーションによるトランジスタ特性劣化量を模擬した環境の中で,妥当な平均化処理の方法について検討を行っている.トランジスタの電流モデルを用いてフリップフロップの記憶保持特性をモデル化し,そのモデルに対してプロセスばらつきを仮定し,記憶保持特性がどのように変化するか確認を行っている.モデル式を求めた結果が記憶保持特性が電源電圧に対して指数関数になっており,中心極限定理の前提である正規分布とは異なる事がわかっている. また本研究で用いる前提となった65mmプロセスが東京大学VDECから利用する事ができなくなり,チップの試作環境及びトランジスタ特性劣化量の実測に大きな影響が出ている.代わりとしてTSMC 65nmプロセスの利用について検討をしているが,新たにNDAを結ぶ必要がある事から,手続きに時間と労力を取られている.チップの試作と実測については前途が見えていない事が現状である. 一方でフリップフロップの遅延特性をシミュレーションにて評価する環境については構築が進んでおり,評価環境を「キャラクタライザ」と呼ばれるEDAとしてパッケージング化を行うことができた.本年度はその速度向上について取り組んでおり,実用的な動作速度を実現する事で,実際に利用していただいている企業からは好評である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
昨年の報告の通り,フリップフロップの記憶保持特性の実測結果がシミュレーションの結果とは異なる課題がある.ランダムばらつきの影響が記憶保持特性の実測結果に与える影響を適切に排除できていない可能性があり,ランダムばらつきの影響を除去する方法について検討を行っている.モデル式を立てた結果指数関数となっていることがわかり,中心極限定理の前提である正規分布とは異なる事がわかっている. また本研究で用いる前提となった65mmプロセスが東京大学VDECから利用する事ができなくなり,チップの試作環境及びトランジスタ特性劣化量の実測に大きな影響が出ている.代わりとしてTSMC 65nmプロセスの利用について検討をしているが,新たにNDAを結ぶ必要がある事から,手続きに時間と労力を取られている.チップの試作と実測については前途が見えていない事が現状である.
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今後の研究の推進方策 |
引き続き,シミュレーションの結果と実測結果の相違について検討を行う.フリップフロップの記憶保持特性としてこれまでは電源を徐々に下げていき記憶保持失敗となる条件から劣化量の診断を行っていたが,別の選択肢,例えば電源起動時のフリップフロップの初期値の分布から特性診断を行う手法などについて検討を行う. チップの新規試作にこだわらず,過去の試作チップの流用によるトランジスタ特性診断についても検討を行う. 既存のLSIテスタでは繰り返し処理の自動化が困難であるため,RoboticProcessAutomationとしてAppiumを導入し測定を加速する.
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