研究課題/領域番号 |
21K17753
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分60100:計算科学関連
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
岸本 誠也 日本大学, 理工学部, 助教 (90843053)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
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キーワード | 電磁界解析 / 複合物理解析 / 電磁波 / 有限差分法 / FILT / マルチフィジックス / 時間領域 / 時間応答解析 / 複合物理計算 / プラズモン / シミュレーション |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では熱―弾性波―電磁界(プラズモン)の時間的な相互作用変化を取り扱う時間領域複合物理解析法を開発し、相互作用の時間変化がプラズモンデバイスへ与える影響とセンサ素子へ有効に利用できることを明らかにする。 従来の逐次的複合物理解析法では、相互作用の時間変化を検証するには計算時間が膨大で現実時間では計算不可能である。そこで、電磁界・熱・弾性波の相互作用を逐次計算する間隔を任意に変化可能な時間領域複合物理解析手法を提案し、デバイス検証の計算時間を現実的な時間まで削減する。更に、この数値解析手法を用いることで、能動的プラズモンデバイスや高感度化したプラズモンセンサの提案を目指す。
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研究実績の概要 |
昨年度までの検討にて明らかになった課題として、電磁界―熱―弾性波の複合物理解析を行うと、計算量が想定以上に増大することが見込まれている。この問題を解決するため、2023年度は、①磁化と電磁界の連成解析法の検討と高速化手法の提案、②FILT法による大規模電磁界解析法の開発、を中心に検討を行った。これらのテーマに関する研究実績の概要は以下の通りである。 ①磁化と電磁界の連成解析法の検討と高速化手法の提案:研究計画立案時に、想定上の計算負荷が生じる場合は、熱、弾性波以外の他の物理現象と電磁界の相互作用を考慮することを策定していたため、磁化の運動と電磁界の複合物理解析について検討を行った。磁化の運動に対する支配方程式であるLLG方程式と電磁界の支配方程式であるMaxwell方程式を連立し時間発展を計算する方法を開発した。特に、昨年度までの検討で課題となった計算負荷の削減を行うため、電磁界と磁化の分割サイズを変えてシミュレーションを行うマルチスケール解析法を提案した。提案法により既存の電磁界―磁化複合物理解析法の計算時間を分割領域のサイズ比と同等に高速化できることを確認した。 ②FILT法による大規模電磁界解析法の開発:本研究課題で開発する計算手法である数値逆ラプラス変換(FILT : Fast inverse Laplace transform)法を用いた計算時間の削減を検討するため、散乱体が入射波長に対し数百倍となる問題を解析する方法を開発した。この方法にて、FILT法の計算量を削減する方法を検討し、計算精度の点から、計算時間に関わる無限級数の打ち切り項数の上限があることを確認し必要以上に計算をすること必要がないことを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2023年度においては、以下の得られた研究成果と取り組みにより、本研究は遅れていると判断する。 ①FILT法による熱および弾性波の数値シミュレーション方法に関する研究:FILT法を用いた熱伝導の数値シミュレーション方法について、電磁界の逐次計算とFILT法を連成する方法の確立が進んでいない。FILT法を用いた弾性波の数値シミュレーション方法について、固体中を伝搬する波については計算妥当性を検証するための逐次計算のみ計算コード作成が完了している状況である。更にFILT法を用いずに逐次計算のみで電磁界―熱―弾性波のシミュレーションを実施したところ、想定以上に計算時間が増大し、十分な検討が困難であることがわかったため,逐次計算でも計算量の削減が課題となっている。 ②熱―電磁界を連成する方法:電磁界の逐次計算を行わず、特定の観測時間までの消費エネルギー等を扱う方法とFILT法による熱および弾性波の数値シミュレーション方法に関する研究を連成する検討を実施する予定であったが、開発法を十分に検証するための方法が確立できていない。また、検討中に従来法の範疇である熱―電磁界の逐次計算部においても、計算時間削減に余地があることがわかってきたため、この検討を先に行う必要がある。 本研究課題のベースとなるFILT法による熱および弾性波の数値シミュレーション方法に関する研究は目標を達成できているが、項目①②それぞれにおいて開発法を十分に検証るための方法の確立が遅れている。このため、総合的に現在までの達成度は遅れていると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究推進方策として、本研究の根幹である電磁界の逐次計算を行わず、特定の観測時間までの消費エネルギー等を扱う方法を用いた複合物理解析の検証及び逐次計算における計算量の削減の検討を中心に、以下の研究項目・計画に従い実施する。 ①FILT法を用いた電磁界解析と熱解析法の連成シミュレーション方法の確立:検討が終了している特定の観測時間までの消費エネルギー等を扱う方法と熱伝導解析法の連成について検討を行う。定式化は完了しているため、まずは電磁界と熱伝導解析を逐次計算する方法について、特定時間で相互作用を計算することを中心に検討を行い、提案法の有効性を確認する。計算妥当性については電磁界が連続的に変化する場合をモチーフとして扱い、提案法の有効性については、電磁界が急峻に変化する場合や、パルス波の応答について検証を行う。 ②電磁界解析法の計算負荷を削減する方法の検討:複合物理解析の計算時間が想定以上に増大しているため、電磁界解析法の計算時間を短縮する方法について検討を行う。FILT法を用いた時分割並列計算の併用、逐次計算負荷をマルチスケールに変更する計算法の検討、圧縮センシングに基づく行列計算の削減を中心に検討する。
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