研究課題/領域番号 |
21K17771
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分61010:知覚情報処理関連
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研究機関 | 愛知工業大学 |
研究代表者 |
玉森 聡 愛知工業大学, 情報科学部, 准教授 (20733512)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 異常検知 / 深層距離学習 / ロバスト多変量解析 / ロバスト統計 / projection depth / 異常音検知 / Projection depth / 深層学習 / 強化学習 / 情報幾何学 |
研究開始時の研究の概要 |
異常音検知システムにおいては、長期間の運用に渡って収集される大量の正常音とごく少量の異常音を活用した異常検知精度の向上が求められる。本研究では、異常データの量で変わりうる学習アルゴリズムを強化学習と距離学習の観点から統合する。そして学習データ量の経時的な増加に対応して、継続的な異常音検知精度向上を実現する学習アルゴリズムの開発を目指す。さらにこれまで数多く提案されてきた異常音検知技術を情報幾何学の観点から整理・解釈し、画像や動画像など音以外のセンサデータに対する異常検知技術への展開を目指す。
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研究実績の概要 |
2023年度もロバスト統計に基づく外れ値検知アルゴリズムの研究開発に取り組んだ。昨年度はprojection depthと呼ばれる順序統計量に注目する外れ値検知手法の開発に取り組み,サンプルデータ群がクラスタを構成するような場合に検知性能が顕著に低下する問題に対処することができた.しかしながら,依然としてサンプルデータ群が多峰性を有していたり,非凸性を有しているなど線形分離不可能な状態には対応できない問題があった.そこで,randomprojection Depth (RPD) の拡張としてKernel Random Projection Depth(KRPD) を開発した.RPDは,RPDを再生核ヒルベルト空間(RKHS)上で計算し,非線形分離可能なデータクラウドにも対処できるようにしている.カーネル関数を用いて元の特徴空間をRKHSにマッピングし,さらにKPCAを用いて次元削減を行う.これにより計算効率を向上させながら,高次元空間における直交性問題をも回避することができる.研究成果は国際会議APSIPA ASC 2023にて発表した.
また前年度から引き続き,深層距離学習を考慮した異常音検知アルゴリズムの研究開発にも取り組んだ.2022年度の調査研究により,異常音検知モデルの入力特徴量に位相スペクトルが有効に活用できることを確認している.そこでは音データに含まれる位相変動を考慮するための複素数値ニューラルネットワークが用いられた.この複素数値ニューラルネットワークに距離学習を組み込むことは自然な拡張であり,有効性もまた確認することができているが,研究成果の対外的な発表には至っていない.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
昨年度から引き続き,ロバスト統計を考慮した外れ値検知アルゴリズムについて,研究成果を論文として対外発表することができた点は自己評価できる.研究計画にある教師なし学習と教師あり学習の統合に関して文献調査と予備的な実験と検討を進めており,「自己教師あり学習」という枠組みがその端緒となる見込みが立った.ただしガンマダイバージェンスを軸とした異常検知の学習アルゴリズムは達成できていない.この点で進捗は遅れているといえる.
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今後の研究の推進方策 |
異常音検知モデルの学習アルゴリズムを「自己教師あり学習」という枠組みにまとめる.異常音検知では,正常音と異常音のラベル付けが非常に手間がかかる.自己教師あり学習を用いることで,大量の未ラベル音声データから有用な潜在表現の獲得が期待できる.また異常音には多様なパターンが存在するが,教師あり学習では,あらかじめ用意した異常パターンしか学習できないという欠点が存在する.一方で自己教師あり学習では,データから自動的に異常音のパターンを抽出できるため,より幅広い異常音への対応が期待できる.自己教師あり学習の枠組みに,これまでの研究で得られたdepthに基づく手法を組み込むことで,学習アルゴリズムを完成に近づける.
長期間に渡って継続的な検知精度向上を実現可能にする枠組みに「継続学習」がある.これにより機械学習モデルの破滅的忘却を防ぎつつ,自己教師あり学習によるロバストな学習アルゴリズムの実現を目指す.
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